ID番号 | : | 04242 |
事件名 | : | 辞職承認処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 公正取引委員会事務局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 退職年金の受給資格が発生したと信じて退職勧奨に応じて退職した者が、係官の試算に誤りがあったことから右受給資格が発生しなかったため、右退職を要素の錯誤に基づくものであり、無効であるとして辞職承認処分の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 民法95条 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願と錯誤 |
裁判年月日 | : | 1969年4月24日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (行ウ) 151 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 訟務月報15巻6号696頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願と錯誤〕 右に認定したところによると、原告は昭和四〇年三月頃被告委員会の命を受けた同委員会事務局庶務課長Aの退職勧告に対し、「年金資格が発生すれば退職してもよい」と明確に述べており、かつ、事務担当者の調査結果によつて、原告はもとより右A課長および後任の庶務課長として原告の退職勧告にあたつたBも、原告につき昭和四〇年九月に年金資格が発生するものと信じていたこと、原告は右の点が真実であることを前提として、被告に対し同年一二月末日限りで辞職する旨の意思表示をなし、これを書面化した退職願を提出したのであるが、右年金資格発生時期の算定につき誤りがあつたため、辞職承認処分のされた昭和四〇年一二月三一日現在では、いまだ原告に対する年金資格が発生していなかつたということができる。右の事実および一般に長期間にわたつて公務員として勤務した者が辞職の意思表示をする際に、年金資格の存否は極めて重大な関心事であることを考えると、原告につき年金資格の発生するかどうかは、原告が表明した辞職の意思表示の主たる内容をなすものであり、もし右の点につき錯誤がなかつたならば、原告は辞職の意思表示をしなかつたであろうし、普通一般人にあつても同様な態度をとつたであろうと解される。してみれば、原告がした本件辞職願の意思表示にはいわゆる動機の錯誤があり、しかもそれは相手方たる被告に表示されていたところであるから、該意思表示には要素の錯誤があり、無効であるといわねばならない。 |