ID番号 | : | 04250 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本電々公社レッドバージ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | アカハタを職場で配布した公務員に対しレッド・パージとしてなされた免職処分の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 日本国憲法14条1項 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1969年6月5日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ワ) 5975 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集20巻3号504頁/時報561号31頁/タイムズ235号180頁 |
審級関係 | : | 控訴審/03709/東京高/昭46.12.14/昭和44年(ネ)1441号 |
評釈論文 | : | 田口精一・昭44重判解説9頁 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 マ司令官の本件指示に基づく閣議決定に則り国家公務員を免職処分に付するためには、当該公務員が単に共産主義者またはその同調者であるだけでは十分でなく各人につき閣議決定の掲げる例示のような「秩序をみだり又はみだる虞があると認められる」具体的活動の存在が要件とされているというべきところ、本件に顕出された全証拠を検討してみても、せいぜい成立に争いのない乙第二ないし第四号証から、原告X1、X2が共産党機関紙赤旗を職場で配布した事実が認定できるにとどまり、しかもこれが配布の期間は必らずしも明らかでないから、右事実をもつて直ちに同原告らに前記要件に該当する具体的活動があつたと解することはできない。 以上からすると、本件免職処分は、本件指示が所期する被排除者の範囲をこえてなされたものであるから、右指示に基づくものとして有効とはいえず、これが効力の有無はわが国の法令に照らして判断されるべきである。 原告らがいづれも共産主義者であることはすでに述べたとおりであるが、このことから直ちに同人らが被告主張の国家公務員法七八条三号に定める「その他その官職に必要な適格性を欠く場合」に該当するものということはできず単に共産主義者であることのみを理由とする本件各免職処分は、原告らの信条による差別といわざるをえず、憲法一四条一項、労働基準法三条に違反する違法な処分というのほかない。そして、その違法は重大であるばかりでなく、閣議決定の掲げる要件を充足しておらず、本件処分日に先立つ昭和二五年九月二六日付A課長のなしたマ司令官の本件指示の解釈の表示も看過しているから、本件処分当時これが瑕疵は明白であると認められ、以上からして、本件免職処分はいづれも無効というべきである。 |