ID番号 | : | 04253 |
事件名 | : | 従業員地位確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 浦賀重工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | いわゆるレッドパージにつき合意解約の成立が認められるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) 退職 / 合意解約 |
裁判年月日 | : | 1969年6月13日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ワ) 8391 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 時報561号79頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 〔退職-合意解約〕 これらの事実によれば本件通告は右通告書記載の期日を承諾の意思表示の期限とする合意解約の申込と右期限までに退職の申出のないことを停止条件とする条件付解雇の意思表示と解することができる。 (三) 《証拠略》によれば、右通告に対し原告らの中にはその趣旨が納得できないとして、一旦は退職願の提出を拒否した者もあったが、結局原告らは次の提出日欄記載の日に昭和二五年一〇月二一日限りで(但し原告X1は同年一一月二四日限りで)会社を退職したい旨の退職願を提出し、会社所定の退職手当並びにこの際の退職願提出者に限り支給される特別退職手当を受領した(退職願提出及び退職手当受給の事実は当事者間に争いがない)ことが明らかである。 氏 名 提 出 日 (1) 原告 X2 昭和二六年一月二五日 (2) 同 X3 同 二五年一〇月二一日 (3) 同 X4 右 同 (4) 同 X5 昭和二六年一月一六日 (5) 同 X6 同 二五年一二月四日 (6) 同 X7 同 年一一月二七日 (7) 同 X8 同 年一〇月二一日 (8) 同 X9 同 年一二月二一日 (9) 同 X10 同 年一二月二三日 (10) 同 X1 同 年一〇月三〇日 (11) 同 X11 同 二六年一月二五日 (12) 同 X12 同 二五年一二月二一日 右事実によると会社が定めた期限までに退職願を提出した原告X3、同X4、同X8、同X1の四名については提出日において前記退職日附の日に退職する旨の合意が成立したというべきである。 右期限までにこれを提出しなかった他の八名については、原告ら主張の無効事由は別とすれば、解雇の意思表示が効力を生ずるに至るべき筋合である。 しかし《証拠略》によると、会社は前記のように原告らに対し成るべく解雇という手段をとることなく自発的に退職させようと考えていたので、昭和二五年一〇月二一日以後も退職願を提出したものには退職手当についても期限内に提出したものと同様に扱うこととし、労務課員のA、Bらが右八名の未提出者宅を訪ねて本人やその家族らに対し退職願を提出するよう説得を続けたことが認められる。前記八名が退職願を提出し所定の退職手当並びに特別退職手当を受給したのは右説得の結果というべきである。 しからば会社は一旦なした解雇の意思表示を撤回し、さきになした合意解約の申込を維持し、右八名らもこれに同意して右申込を承諾したというべきである。 (四) これを要するに、会社の原告らに対する雇用契約解約の申込と原告らの承諾の意思表示は、原告らがそれぞれ退職願を提出したときに、昭和二五年一〇月二一日(原告X1は同年一一月二四日)限りで会社を任意退職するということで合致したもの、即ち合意解約が成立したというべきである。 |