ID番号 | : | 04276 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 三豊製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 加工技術者に対する川崎市から呉市への転勤命令拒否を理由とする解雇につき、同意を得る努力を十分にしておらず、転勤命令が権利濫用にあたり無効であり、懲戒解雇も無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1968年1月29日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ヨ) 70 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集19巻1号27頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 浜田冨士郎・ジュリスト430号120頁 |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 いうまでもなく、業務上必要な転勤命令を出すことは使用者の権能に属しており、労働者はそれに服する義務があるが、然し労働者の立場からすれば、転勤に伴う現実的職場および住居の変更等の労働者に及ぼす影響は大きいから、使用者としても転勤を命ずる際にはできる限り労働者の同意を得るようにし、已むなく同意が得られない場合でもなるべくその希望に副うように努力した上で転勤を実施するのが労使関係における信義則に合致しているものと云わねばならず、右要請に著るしく反する使用者の一方的転勤命令は権利の乱用であり、結局その命令は無効なものと断定せざるを得ない。 本件解雇の場合を考えるに、前掲判断のとおり会社は申請人を早急に転勤させなければならない事情は認められないのに、申請人の意向を全然確めずに転勤を命じ、又考慮期間を与えてくれとの申請人の要請も全く無視し、転勤を命じた日の翌日にはもう解雇に及んでいるのであるから、本件転勤命令は権利の乱用としてその効力を否定すべきものと解さなければならない。したがつて、斯る転勤命令を拒否したことを理由として懲戒解雇に処することはできないのであるから、本件解雇は無効であり申請人は依然として会社の従業員としての地位を有する。 |