全 情 報

ID番号 04304
事件名 救済命令処分取消請求事件
いわゆる事件名 九建日報社事件
争点
事案概要  組合ビラを使用者の許可のない場所に貼り、再三の注意を拒否したためになされた諭旨解雇が相当とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
労働組合法7条1号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1968年8月30日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (行ウ) 18 
裁判結果 認容
出典 労働民例集19巻4号1092頁/タイムズ228号156頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 本件はもともと組合の情宣活動としてポスター二枚(もつともその内容は政治活動文書)を会社建物の指定以外の場所に貼付したことに端を発したものであり、それ自体をとりあげれば諭旨解雇の事由とすることは酷に過ぎると考えられる程度の就業規則違反であるが、会社は右行為により直ちに諭旨解雇に処したわけではなく、再度にわたり出勤停止処分に付し、かつ十分な説諭と警告を与えてYの反省を促しており、会社としては解雇を避けるため相当な努力を払つたのに、Yが全く反省の色を見せず、右一四日間の出勤停止期間中においても引続き会社の指示、制止を無視して連日出社し就労を強行したことは会社の経営秩序を紊す重大な就業規則違反行為であり、右のような行為が反覆されたことからすれば企業に対する反価値的性格が強度に表明されたものとみるほかなく、他に特段の事情の認められない本件では(一四日間の出勤停止期間の最終段階に至つて出社、就労をやめたからといつて格別反省の様子が見えるとはいえない)、会社が右第二次出勤停止期間中の行為を理由に被告を諭旨解雇したのは相当であると判断せざるを得ない。