全 情 報

ID番号 04311
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 全日本検数協会事件
争点
事案概要  労使間の対立抗争にともなう暴行を理由とする懲戒解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
裁判年月日 1968年10月21日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ヨ) 1148 
昭和40年 (ヨ) 1445 
裁判結果 却下
出典 時報552号78頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 そうすると、申請人らと協会との労使関係が従来からややもすると円満を欠き、とくに前認定のごとく昭和三九年末頃から寮運営の問題をめぐってさらに対立抗争が緊張の度を増し、対話と互譲の欠けた状態が生じ、これを基本的な背景に、本件集団的暴行・暴言事件が惹起されたことは明らかであり、協会が寮の貼紙や講演に対する措置につき多少の行き過ぎがあり、又仮に申請人X1やAに対する措置につき妥当を欠く点があったとするも、申請人らの右二五日や二九日の行動は許されないものと云うべきである。特に右二九日の行動は寮問題と直接関係なく申請人X1と申請外Aに対する前示の措置を原因としているから、なおさらのことである。
 (5) これ等の集団的な行動が業務を阻害し、結果としては現実に負傷者を生み出す有様だったことを考え併わせると、申請人X2、同X1の右二五日と二九日の行動、申請人X3の右二九日の行動はいずれも前記就業規則第三九条第五号「協会業務の正常な運営を妨げたとき……」等の規定に該当し協会が前記のとおり解雇の意思表示をしたことは、その余の解雇事由の存否について判断するまでもなく、一応正当と考えられる。(証人Bの証言によれば、協会が申請人X2、同X1に対し、右解雇の意思表示をするに当り協会のC部長が右二九日の行動も解雇事由に含ませると、口頭で通知したことが認められる。)
 三 ところで、申請人等は、協会のなした同人等に対する解雇の意思表示が権利濫用に当ると主張するのでこの点について判断するに、右主張は、申請人等の前記集団行動がその態様において、職場内においてもんだり押したりして上司に負傷させる等の内容を含むこと前認定のとおりであることに照らせば、他にそのような手段、態様での集団的な暴行・暴言をなしたことを認容せしむべき程度の事情の存することについて疎明も不十分である以上、当裁判所として到底採用しうべくもないところである。