ID番号 | : | 04344 |
事件名 | : | 解雇無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 合資会社阿部タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー会社の従業員が自らダンプカーを購入して他の土建会社に雇われ継続的に土砂運搬業務に従事したことにつき、二重雇用を禁ずる就業規則により懲戒解雇された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 二重就職・競業避止 |
裁判年月日 | : | 1967年8月25日 |
裁判所名 | : | 松山地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (ワ) 413 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 時報494号63頁/タイムズ218号231頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-二重就職・競業避止〕 原告が同建設で永続的に働く意思をもっていたか否かはともかく、少なくとも原告の同建設における稼働は、いわゆる一時的なアルバイトとは著しくおもむきを異にし、相当期間継続する予定のもとに始められたものと推認せざるをえず、現実にも本件懲戒解雇時までを考えても右のように相当期間継続している。さらに《証拠略》によれば、原告が被告会社に出勤しなかった期間のうち昭和四〇年七月一五日以降本件懲戒解雇を受けるまでの間は、有給休暇でないことはもちろん、病気欠勤の取扱をも受けえない(被告会社に対しては病気欠勤としての手続をとっていない)欠勤が継続していたことが認められる。右認定を左右するにたる証拠はない。このような形による被告会社以外における稼働が被告会社就業規則第一八条第三項(8)にいう二重雇傭に該当することは疑問の余地がないばかりか、右のような状況のもとでは、本件懲戒解雇に関し被告会社に原告の右行為にくらべてもなおかつ非難されるに値するような違法もしくは不当な行為が存在するなど特段の事情の認められないかぎり、原告の右行為は就業規則の右条項違反として懲戒解雇に値し、本件懲戒解雇は有効と断ぜざるをえない。けだし、二重雇傭は、とくに前示の程度にまでいたった二重雇傭は、およそ人と人との信頼関係をもって始めてその成立と継続が可能となる労働契約の性質を考えれば、被告会社と原告との雇傭関係の継続を著しく困難ならしめる重大な信義則違反と考えられるからである。 |