ID番号 | : | 04345 |
事件名 | : | 損害賠償請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 運輸省第一港湾建設局新潟港工事事務所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 管理職に対する暴行を理由に停職一カ月とされその記事が局報に掲載された者が、右懲戒処分の理由が誇大であるとして国に対して損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 国家賠償法1条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 |
裁判年月日 | : | 1967年8月30日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (ネ) 2197 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部棄却 |
出典 | : | 東高民時報18巻8号120頁/訟務月報13巻11号1346頁 |
審級関係 | : | 一審/05394/新潟地/昭39. 9. 8/昭和36年(ワ)474号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 前記のように書類挾を突飛ばした被控訴人の所為は、たとえ停頓状態にある団体交渉を打開する意図に出たものであるとしても、きわめて粗暴な行為であつて、その限においてなんらの責任のない行為とは云い難いけれども、前記の書類挾がA次長の左顔部に当つたのは勢の然らしめたところであるばかりでなく、これによつて生じた結果も前敍認定の程度に止ることは前記のとおりであるから、恐らく右事実自体、そのままの形においては懲戒処分としての一ケ月の停職を維持ないし強化する事由として採上げられなかつたと考えられる。しかるに、事実を知悉するA次長は、B医師の診断書記載のとおりの受傷の事実が存するものとして、右診断書を証拠とし、C所長を通じ被控訴人の任命権者たる第一港湾建設局長Dにこれを申告し、同局長も真相を十分調査することなく、診断書記載の事案をそのまま採用してこれを被控訴人に対する懲戒処分の一事由とした結果前記のように恐らく掲載を見るに至らなかつたと考えられる事実が誇大な形において昭和三五年一〇月初旬第一港湾建設局発行の原判決添付の局報号外に懲戒事由の一として掲載されたものと云わなければならず、右局報号外の約一五〇部が第一ないし第四建設局、第一港湾建設局管内の各工事事務所及び運輸省港湾局等に配布せられ、これらの所属職員に周知せられるところとなつたことは前記のとおりであるから、控訴人国の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うにつき過失によつて被控訴人の名誉を破損したものというべきであつて、控訴人国はこれがため被控訴人の被つた精神的損害を賠償する責に任ずべきものといわなければならない。 |