ID番号 | : | 04347 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 誠和運輸事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社の営業用自動車を無断で私用に使用したことを理由とする自動車運転手に対する解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 |
裁判年月日 | : | 1967年9月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ヨ) 2289 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働民例集18巻5号949頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 社会一般では従業員の無断使用中の事故において会社の損害賠償責任を肯定する事例が多くしかもその賠償額も漸次多額化する傾向にあること会社では右傾向にかんがみ又企業防衛の点からも営業自動車の無断使用については以前にまして厳重な態度で臨むこととし同四一年一月頃申請外Aを招聘して同年三月頃従業員全員の意見を徴して就業規則を改定し車輛の無断使用については懲戒解雇処分をもつて臨む態度を打ち出しその一〇八条一四号においてその旨明記したこと、申請人は会社に入社する以前から会社代表者とは懇意な間柄であつた上入社後は従業員寮の管理を依頼され同人の無断使用については黙認されていたが右規則の改定に際しては同人も右規則に服しその適用について何人もその例外は認められなくなつたこと、申請人は本件解雇の意思表示を受ける約二週間位前から同市内(略)所在のB会社大阪出張所に赴き会社の商品を運送する業務に従事するよう命ぜられていたが同出張所は会社営業所とは反対の方角にあつたので同人は毎朝営業所に立寄ることがなく会社の営業用自動車を運転して直接同出張所に出向いて行きそこに常置する会社の営業用自動車で同出張所での業務に従事していたこと、同年四月二六日右出張所での勤務終了後の夜七時頃その日たまたま同市内C小学校で開かれていた日本共産党の演説会を傍聴するため毎朝出勤に使用している会社の営業用自動車を運転して行きその間附近のD神社境内に駐車していたことが疎明される、甲第二、第六号証の記載中右疎明事実に反する部分および申請人本人の尋問の結果中右疎明事実に反する部分は採用しない。 右事実によれば被申請会社のような規模の会社では従業員による自動車事故が発生し、しかも死傷事故をおこした場合企業の運命をも左右する結果にもなりかねないことは容易に想像されるところ会社がかゝる事態を未然に防止するため前記のように従業員による車輛の無断使用について厳重な態度で臨むこととしたことは充分理由のあることでありひとり申請人の行為についてのみ就業規則一〇八条一四号の規定を度外視して黙認することは同規則を改定した意図に反し企業の秩序をそこなうこととなる、そうだとすれば前記申請人の行為について会社がとつた措置は違法不当とはいえず充分肯首しうるところである、この点の会社の主張は理由があり、申請人の主張は理由がない。 |