ID番号 | : | 04374 |
事件名 | : | 免職処分無効確認請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 熊本郵便局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | いわゆるレッドパージによって免職とされた郵政事務官が免職処分の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 日本国憲法14条 日本国憲法19条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1966年4月19日 |
裁判所名 | : | 福岡高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (行コ) 15 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 訟務月報12巻5号717頁 |
審級関係 | : | 一審/熊本地/昭40.10.20/昭和37年(行)8号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 前示連合国最高司令官の内閣総理大臣宛書簡は、直接には、日本共産党中央委員の公職からの追放や同党機関紙アカハタおよびその後継紙、同類紙の無期限停刊の措置を指令するものであつて、共産主義者およびその同調者を国家機関から排除すべきことを明示してはいない。しかしながら、連合国最高司令官の前示書簡(特に昭和二五年七月一八日付書簡)による指示は、単に公共的報道機関について共産主義者ないしその同調者を排除すべきことを指令するにとどまらず、その他の重要産業についても同様に指令したものと解されている(最高裁 昭和三五年四月一八日決定 民集一四巻九〇五頁参照)。かように、連合国最高司令官の指示が、その占領政策を達成するための必要な措置として、公共的報道機関その他の重要産業から共産主義者およびその同調者を排除すべきことを指令したものと解すべきである以上、右指示は、国家機関からも共産主義者およびその同調者を排除すべきことを指令した趣旨と解さねばならない。何故なら、占領政策達成のための必要措置として、公共的報道機関およびその他の重要産業から共産主義者およびその同調者を排除すべきであるなら、国家機関からの共産主義者およびその同調者の排除はそれ以上に重要かつ緊急な事柄であるから、連合国最高司令官が公共的報道機関その他の重要産業からの排除を指令しながら、国家機関からの排除は指令せずに放置したということは到底考えることができないからである。したがつて、被控訴人が控訴人を共産主義の同調者と認めて免職処分にしたことは、前示連合国最高司令官の指示に従つたものとして有効であるといわねばならない。 控訴人は、本件免職処分が憲法第一四条、第一九条に違反するとか、連合国最高司令官の指示は憲法に違反する範囲において無効であるとか主張するが、本件免職処分当時は平和条約発効前であつて、当時日本の国家機関および国民は、連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実かつ迅速に服従する義務を負い、わが国の法令は右指示に牴触する限りにおいてその適用を排除されるものであることは、いうまでもないところであるから、連合国最高司令官の指示に従つてなされた本件免職処分について憲法違反を云々するは当らない。 |