ID番号 | : | 04386 |
事件名 | : | 解雇無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | レッドパージ・マ書簡事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | レッドパージの契機となったマ書簡の指示の具体的内容がレッドパージによる解雇に関連して争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 民事訴訟法(平成8年改正前)257条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1966年8月30日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和32年 (ワ) 3831 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | タイムズ198号179頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 叙上一連の書簡(編注連合国最高司令官の昭和二五年五月三日附同年六月六日附同月七日附同月二六日附同年七月一八日附各書簡をいう)の内容は、政府機関に対し日本共産党の活動を排除するための一定の措置(編注、日本共産党幹部らの公職追放アカハタの発刊停止)を命じた具体的指令の部分と五月三日付声明の趣旨をさらに敷えんして共産主義及び日本共産党の害悪を指摘し、これを排撃することが平和的民主的社会におけるすべての国民の責務であることを強調する一般的説示の部分とから成立っていることが明らかであるところ、上記声明及び一連の書簡を通じて連合国最高司令官が一般国民に対し重要産業の企業組織から共産主義者及び日本共産党員を排除すべきことを指令したものと解し得るかどうかについては、さらに考究を要するところである。 この点につき、昭和三五年四月一八日最高裁判所大法廷決定(民集一四巻六号九〇五頁以下)は、右のような連合国最高司令官の指示がなされたものであることは、上記の「声明及び書簡の趣旨に徴し明らかであるばかりでなく、そのように解すべきである旨の指示が、当時当裁判所に対しなされたことは当法廷に顕著な事実である」旨を判示している。(中略)最高裁判所の当該法廷に「顕著な事実」をもって、そのまま当裁判所に顕著な事実ということもできない。(中略) ところで、右事実の存否については、当裁判所においてこれを判断すべき的確な資料は存在せず、前掲最高裁判所決定においても、当法廷に顕著と判示するにとどまる。右の事実が存在することは、上記決定において初めて世上に公表されたものであり、しかもそのような指示が何時何人によりいかなる形式をもってなされたかの具体事実については右決定もこれを明らかにしていないので、叙上の判旨が従来下級審判例に示された右事実に対する疑念に対して十分に説得的なものといえないことは甚だ遺憾であるけれども、最高裁判所大法廷の裁判官が全員一致の意見をもってその存在が顕著であると判定した事実をなんらの的確な反対資料もなくむげに疑うことは、最高裁判所の権威と信頼性を自ら冒涜するものとして、下級裁判所のよくなし得るところではない。結局、当裁判所としては、右最高裁判所決定の判旨を唯一の資料として、右事実が存在したものと推認せざるを得ない。 |