ID番号 | : | 04389 |
事件名 | : | 修正裁決取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 佐賀県人事委員会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 担任教諭の公務による不在中、児童の弁当ぬくめ器の炭火から失火し校舎を焼失した火災につき注意義務違反の責任を問われ「減給六月給料の十分の一」の懲戒処分とされ、その適法性を争った事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員法50条3項 地方公務員法29条 行政事件訴訟法10条2項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等 |
裁判年月日 | : | 1966年9月29日 |
裁判所名 | : | 佐賀地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (行ウ) 1 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 行裁例集17巻9号1138頁/時報465号37頁/タイムズ200号120頁/訟務月報12巻11号1558頁/教職員人事判例5号212頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕 原告は、当日会場の準備作業に従事していたとしても、なお担任教室の管理責任者として、火気取扱いについて児童を監督し、あるいは自ら火気の点検、調節をし、火災の危険を未然に防止すべき注意義務を負つていたものというべきである。しかるに、原告は、漫然と公民館における作業を続け、右注意義務を尽さなかつた。原告が右注意義務を果していれば、本件火災は事前に防止しえたものであり、本件火災は、原告の右注意義務けたいに帰因するというべきである。 もつとも、原告が会場準備のため職員朝会に出席していないことを知つていた校長が、校務を総括する者として、原告担任学級につき他の教諭にその代行をさせるなどの措置をとるか、原告が会場から学校に戻つていないことを知つていたA教諭、または原告担任児童を引率したB教諭が、原告に代わつて同教室の火気を点検するか、あるいは、当日警備係として学校に残つていたC教諭が、校内を巡視し各教室の火気取締を十分するか、そのいずれかがなされておれば、あるいは本件火災に至らなかつたかも知れないが、それらは右原告の注意義務けたいの認定を左右するに足りる事由とは認められない。 四 してみると、本件につき、原告に対し職務上の注意義務けたいを認めた本件裁決は、正当であり、原告主張のような違法はないというべきである。 五 進んで、本件裁決による懲戒処分が相当であるかどうかを判断するに、原告の注意義務けたいにより招いた結果は重大であるが、原告が朝七時ごろからきびしい寒さの中で放送、照明設備の準備に従事していたこと、前記のように校長ほか他の教諭らにも本件火災防止のための配慮に欠けるところがあつたこと、本件火災の発端となつた家事室の木炭についてその管理が十分でなかつたこと、本件火災の結果が大きいのは学校における防火施設が不備であつたうえ、当日は水道も凍つていて消火作業がはかどらなかつたことにも原因があること、など諸般の事情を考慮すると、原告に対し厳重な処分をなすことは酷であるとも考えられるところ、本件裁決は、停職二月の原処分を過重であるとして、減給六月給料の十分の一に修正しているのであり、当事者間に争いのない被告主張の他の教諭が本件火災につき受けている懲戒処分と比較しても、右修正の処分が相当性を欠くものとは認められない。 |