ID番号 | : | 04403 |
事件名 | : | 法定相続分支払控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 理研健康組合事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 死亡退職金は相続財産に含まれないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号の2 民法623条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 死亡退職金 |
裁判年月日 | : | 1965年1月27日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ネ) 3138 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 下級民集16巻1号105頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-死亡退職金〕 労働者が死亡した場合に支給される死亡退職金においても、受給権者をいかなる者にするかの点について具体的な労働契約によつて若干の相違はあり得ても、受給権者が当該労働者でないというだけであつて、法律上の基本的性質としては生前の退職金と異るところはない。すなわち労働契約のうち死亡退職金に関する条項は、受給権者を受益者とするいわゆる第三者のためにする契約であり、その性質は特別に規定していない場合は、死亡した労働者と生活を共にしていた者、主としてその収入によつて生活を維持していた者、或はその労働者によつて扶養されていた者の生活の保障にある。そして死亡退職金は当該労働者の死亡によつてはじめて受給権者に支給されるものであるから、仮に受給権者が法律上の相続人であつたとしても、受給権者は相続によらず、直接これを自己の権利として取得するのである。(この点につき、相続税法第三条一項二号の規定は課税上の便宜を主としたものであつて、これによつて逆に死亡退職金の私法上の性質が規定されていると解すべきではない)本件においても前記甲第一号証職員退職給与金規則第六条の文言からしてもまた其他本件に現われた全資料からしても、これと異つて解すべき余地は認められない。 控訴人は、右規則第六条が「職員が死亡した場合は組合で認める遺族又は之に準ずるものに支給する。」とあるところをもつて、本人の死亡を停止条件として、相続人に対してその法定相続分に応ずる金員を支払うことを定めた契約であると主張しているが、これは要するに相続財産に含まれるという主張に他ならず、このように解することのできないことは既に述べたとおりである。 |