ID番号 | : | 04405 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 菊池酸素工業所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 合成樹脂貯蔵用タンク内の作業中、塩素ガス発生の事故により死亡した場合につき、使用者に不法行為責任を認めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1965年1月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ワ) 2345 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 時報423号42頁/タイムズ173号152頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 被告Yが被告会社の従業員であってAの前記作業を指揮監督する立場にあったことは争がなくこの種の作業が被告会社の業務内容に属し被告Yがその経験者であることは同被告の供述により明らかであるところ、右作業に伴って有毒な塩素ガスが発生し、作業者がこれを吸入すれば中毒ないし死亡の危険があること、ことに前記タンクの位置、構造からすればその危険が大きいことは、単に業務上具備すべき知識の上ばかりでなく科学の一般常識からしても十分予見し得るところであるから、被告YはAに対し前記作業中防毒マスクを使用させる等の措置を講じて右危険を未然に防止すべき監督者としての注意義務があるのに拘らず前記コンプレサーによる送風と防塵マスクの着用のみをもって(これらの措置が危険防止に役立たず、それが容易に認識できるものであることは、前記二に述べたとおりである。)漫然塩素ガス吸入の危険が防げるものと即断してAに作業を行わせた点において前記注意義務を怠った過失があるものというべく、Aの死亡につき民法第七〇九条の損害賠償責任を免れない。 |