ID番号 | : | 04502 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 平塚工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合員が行った会社幹部に対する告発行為を理由として組合から除名された者がユニオンショップ協定に基づき懲戒解雇された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働組合法16条 労働組合法7条1号但書 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1952年3月20日 |
裁判所名 | : | 横浜地小田原支 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和27年 (ヨ) 2 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集3巻1号26頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-ユニオンショップ協定と解雇〕 会社の業務に関し非行があると信ずるに相当の理由があればそれが取締役たると一般従業員たるとを問わず、これを是正し排撃することは、健全な経営、経理の明朗化のために当然の事柄であつて、経営の一翼を担う労働組合としても又なすべきことである。申請人四名が告発したのも、結局は被申請人会社幹部の弱腰に原因するのであつて充分了解されるところであり、この場合被申請人会社の信用に係わるとして「臭い物には蓋」式にウヤムヤにしてしまうことは、決して抜本的な策ではない。申請人四名にしてみれば、被申請人会社の健全な発展のために、恐らくA社長の圧力と戦わねばならないであろうとの一大決意の下に告発したものと察せられ、申請人等が一部重役と結托して会社乗取りのためになしたとは認められない。殊に前記三ケ条の実行は一月二十五日組合委員会に於て決議され(組合規約第十条によれば委員会の決議は場合により組合の最高決議となる位である)たので、申請人Xは組合書記として、書面により組合決議として三ケ条の実行を会社側に要求したことも道理である。 してみれば申請人四名は組合規約第三十八条の除名理由たる「組合精神に反し又は決議に違反したる行為ありたる者」「組合の統制を紊したる場合」に該当する何等の事項もないのであるから前記除名は無効と言わねばならない。従つて又除名の有効であることを前提とする労働協約のユニオン・シヨツプ条項に基く解雇も無効である。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕 A及びBの個人的主観的な感情からすれば申請人四名の前示行為は憎むべき「不都合な行為」であろう。然しながら就業規則第五十条第七号の「不都合の行為」とは、就業規則全般から考え、会社の健全な経営上からみての「不都合な行為」であつて、個人の主観的感情によつて判断されるべきものでないこと明白である。 してみれば申請人四名の行為が右の条項に該当しないことは、前述のところから明らかである。 |