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ID番号 04527
事件名 解雇無効確認請求事件
いわゆる事件名 三井造船事件
争点
事案概要  中央闘争委員の指令に基づかないで、組合分会における職場の指導者が、終業後あるいは就業時間中の職場において、職場組合員に対する職場放棄等を指導、扇動したことが違法な争議行為にあたるとして懲戒解雇された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
労働組合法7条1号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1956年5月7日
裁判所名 岡山地
裁判形式 判決
事件番号 昭和25年 (ワ) 533 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 労働民例集7巻2号304頁/労経速報211号7頁
審級関係
評釈論文 季刊労働法22号77頁/労働研究108号12頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (1)争議の事情経過についての項以降において認定した叙上諸般の事情を綜合考察すると、原告等に対する本件懲戒解雇は、一面において、被告が分会の弱体化を企図し、そのためにしたその運営に対する介入乃至同原告等が分会の活溌な組合活動をしたことの故をもつてした、不利益な取扱いであるとの非難を受けるに足るものがあり、これ等の事情を推認せしめるけれども、叙上懲戒解雇の正当事由についての判断の項で認めた同原告等の就業規則違反の所為については、それが中闘の指令によつた争議行為である等正当な組合活動と認めるに足る確証はない。寧ろ叙上就業規則違反の所為の事実認定に引用した各証拠に同原告等が成立を認める乙第二十九号証を綜合すると、原告X1同X2同X3同X4を除く爾余の原告等の所為並に原告X2の十一月二十八日の外業組立職場における職場会議に際しての所為は、同原告等が中闘の指令に基かず、分会における職場の指導者として、終業後或は就業時間中の職場において、職制の指示を無視或はこれに反抗し、恣意をもつて集合せる多数の職場組合員を指導或は煽動し、これに職場を放棄させる等職場秩序を混乱せしめた不当な争議行為であること。原告X2の爾余の所為はいずれも同原告が中闘の指令に基かず、就業時間中妄に他の職場や入渠中の船舶に赴き、従業員に対し種々の言辞を弄してその作業を妨害した不当な争議行為であることが認められ、また原告X3同X4の所為については、叙上懲戒解雇の正当事由についての判断の項で認めたように、同原告等はいずれも日本共産党玉野造船細胞の構成員であること、被告主張の同細胞の機関紙マストには、原告X3は発行人原告X4は編集人と表示されており、これに被告主張の記事が掲載されていること等から見て、反証のない限り、同原告等が分会の組合員であつたとしても、同細胞の政治活動としてなした不当な争議行為と認めるのが相当である。