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ID番号 04555
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 高見組合資会社事件
争点
事案概要  新年の初出勤日の午後、使用者の許可なく早退したことを理由とする従業員の懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
民法1条3項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1960年4月30日
裁判所名 神戸地姫路支
裁判形式 判決
事件番号 昭和35年 (ヨ) 17 
裁判結果 認容
出典 労働民例集11巻2号385頁
審級関係
評釈論文 前田政宏・ジュリスト235号80頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 叙上認定の事実に徴し被請申人側に於て申請人等の行動に付き不満の念を懐いたであろうことは推測に難くなく申請人等が当日午後特にこれと言う正当の事由もないのに漫然と早退してしまつたことは非難さるべきところではあるが
 証人A同Bの各証言、申請人X本人尋問の結果(第一、二回)並びに成立に争のない甲第四、五、六号証により推認し得べき
 申請人等は何れも当日午前中は前年暮から持越しになつていた被申請人会社の製材業務に誠実に従事し杉材による廂材料の製品二百数十個以上を製作したこと
 申請人等の早退により被申請人会社に対し特に著しい損害を蒙らしめたような事実もないこと
 当日は新春の初出勤日であつたため申請人等は幾分いわゆる正月気分に浸つていたものなること
 申請人等は何れも相当の年月にわたり、被申請人に雇われ来つたものであつて、従来の勤務成績乃至行状が不良であつた事実などは認められないこと
 等の諸般の事情を考慮するときは到底申請人等の前記行動を以て右就業規則に定められた懲戒解雇に該当すべき職場秩序の破壊ありたるものと謂うことはできない
 従つて被申請人のなした本件解雇の意思表示は解雇権の濫用に外ならざるものと謂うべく右解雇は無効であり、申請人等は何れも被申請人の従業員たる地位を保有し被申請人に対し賃金を請求し得るものと謂わなければならない。