全 情 報

ID番号 04574
事件名 仮処分取消申立事件
いわゆる事件名 板付空軍基地事件
争点
事案概要  米軍基地でジープ運転手として勤務していた者が人員整理としてなされた解雇につき日米基本労務契約所定の人員整理に関する基準に違反するとしてその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性
裁判年月日 1960年11月16日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和34年 (モ) 985 
裁判結果 申立一部認容
出典 労働民例集11巻6号1307頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-整理解雇-整理解雇基準〕
 労務基本契約に定められた人員整理に関する基準は就業規則と同様の効力を有するものと解すべきを相当とし、この規定に違反する解雇は無効と解すべきところ、基本労務契約細目書IH節の各規定の趣旨及び証人A、同B、同C、同Dの各証言並びに被申立人Y1の本人尋問の結果により認められるモータープールに於ける申立人の云うジープ運転手の職務内容等を綜合すると、本件人員整理の結果減員される職種の決定ならびに、人員整理のための在籍者名簿の作成に当つてはジープ運転手、トラツク運転手を含めて普通自動車運転手として単位職種をとるべきものと解するを相当とする。従つて本件人員整理に当つてはトラツク運転手を含めて先任の逆順により整理該当者を決定すべきことゝなる。そこで、成立に争いのない甲第一二号証によると被申立人等より採用年次の浅いトラツク運転手は申立外E一人であることが認められる。従つて被申立人Y1、同Y2の順位はそれぞれ第一四番目、第一三番目に上ることになる。ところが、基本契約ならび前掲各証拠と弁論の全趣旨を綜合すると、本件人員整理は職場における必要人員を算定しその余の人員を解雇する趣旨であつたと認められるが、被申立人等は駐留軍側の右職種の在籍人員数には既に解雇者として扱われてこれに計上されていないため、被申立人等が就業していたとすれば余剰人員は前記米軍指定の一三名に二名が増加して一五名となるべきところであつた。
 従つて第一四番第一三番にあたる被申立人等はいずれも整理対象者であると認むべきである。右認定に反する証人Aの証言は措信しがたく、他に右認定を左右する証拠はない。従つて被申立人等に対する本件解雇が整理基準に反し無効である旨の主張は理由がない。