ID番号 | : | 04604 |
事件名 | : | 仮処分控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 西日本鉄道事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合支部および分会の役員の一部によって企画指導された休日労働の拒否が山猫ストとされ、それに関与した支部、分会の役員が懲戒解雇された事例。 |
参照法条 | : | 労働組合法7条1号 労働組合法8条 労働基準法36条 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1962年10月4日 |
裁判所名 | : | 福岡高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (ネ) 429 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集13巻5号1036頁/時報319号45頁 |
審級関係 | : | 一審/福岡地/昭36. 5.19/昭和34年(ヨ)470号 |
評釈論文 | : | 宮島尚史・新版労働判例百選〔別冊ジュリスト13号〕186頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 控訴人等は、前掲昭和三四年七月一九日当時控訴人等の所属する労働組合、すなわち、Y会社労働組合北九州地区支部及び到津自動車営業所分会と被控訴会社との間には労働基準法第三六条による休日労働に関する協定書が未だ作成されていなかつたので、前掲Aに要する臨時応援車発車のための公休日就労要求は、違法な労働要求であるとし、又右臨時応援車は労働協約第九八条にいう臨時ダイヤに属し、実施前組合の了解を要する事項であるから、これが了解を与えなかつたからといつてこれを違法視することはできないものであるとし、或いは前示通常ダイヤの乱れがあつたのは、到津自動車営業所に適当な人員配車の措置がなされなかつたための当然の結果であつて、控訴人等の行為の結果によるものでないとしてその因果関係を否定するなど、原判決が控訴人等の行為に対し山猫争議であると判断しているのに対し、種々これを反論しているのである。 しかし、これらの点に関しても、原判決がその理由中に説示している判断は極めて妥当であつて、当裁判所もこれとその見解を同じくするのみならず、当審証人B、同Cの各証言によつても、これを確認するに十分である。この点に関する当審における控訴本人各尋問の結果は措信できないところで、他にこれを覆えすに足る証拠はない。 すなわち、当裁判所も亦前記基準法第三六条による協定書の要件は、従来の慣行に従い、昭和三四年七月一四日には八月度(七月一一日から八月一〇日まで)の時間外並びに休日勤務を実施して宜しい旨、控訴人Xから北九州支部営業局に申入れがなされ、次いで同月二八日協定書が作成され同月一一日に日付を遡及して、八月二日基準監督署にその届出がなされていることによつて実質上充足されているとみるのが相当であり、又前掲Aに要する臨時発車運転はいわゆる操車運転であつて協約第九八条にいう臨時ダイヤに包含されないものというべく、控訴人等が採つた集団就労拒否並びにこれに伴い前記臨時応援車の発車運転が阻止されたに止まらず通常ダイヤが倒れるまでの結果を惹起したことを、被控訴会社が担当している営業の公共性と合せ考えれば、控訴人等の行為は明らかに争議行為の一種といわねばならず、而も適法な上部機関の承認を経ずして分会もしくは支部役員の一部の者の計画指導による右のような争議行為は、まさしく山猫争議と呼称されている違法行為であることが、明らかである。 その他被控訴会社が控訴人等に対し右違法な争議行為の責任を追及した点について、公序良俗違反、もしくは懲戒解雇権の濫用として非難すべき事由のある点は、何等発見することができない。 |