ID番号 | : | 04608 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 五十嵐キネマ商会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 武生劇場から宝塚劇場への配転命令を拒否したことを理由に出勤停止処分をし、始末書の提出を命じたが、これに応じなかったことを理由として解雇された者が不当労働行為であるとして争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1962年12月21日 |
裁判所名 | : | 福井地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (ワ) 9 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集13巻6号1183頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 山口俊夫・ジュリスト313号151頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇権の濫用〕 原告らは、本件解雇は、不当労働行為であつて無効であると主張するが、前記認定の全事実をかれこれ総合すると、被告会社が行つた原告らに対する解雇の意思表示には、外形的には、不当労働行為-組合への支配介入という意味において-を推認せしめるふし(、、)が必ずしも存在しないものではないが、しかし、いまだ、ただちに被告会社側に、右不当労働行為についての主観的な認識、ないし目的があつたと、断定するに足る証拠は、原告らの全立証によつても、これを見出すことができないことから原告らの右主張は理由がない。 つぎに、原告らは、本件解雇の意思表示は、権利の濫用であつて、無効であると主張するので、審究するのに、懲戒処分中解雇は、労働者を企業外に追放する極刑ともいうべきであるから当該労働者を、それ以下の懲戒処分に附して、反省の機会を与えることが無意味であつて、企業秩序維持の必要上、当該労働者が企業内にとどまることを許す余地が、全くない場合に行われるものと解すべきである。そこで、前記認定事実を、総合してみると、被告会社の原告らに対する本件解雇処分は、まさに解雇権の濫用として著しく不当であり無効といわねばならない。 |