ID番号 | : | 04616 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 山本鉄工事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 企業再開を停止条件とする再雇用契約が付随しているものと信じてなされた合意解約の意思表示につき、要素に錯誤があったとして右意思表示が無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2条 民法95条 |
体系項目 | : | 退職 / 合意解約 |
裁判年月日 | : | 1963年3月1日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ヨ) 2150 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集14巻2号379頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 宮島尚史・ジュリスト330号103頁/飯倉一郎・労働経済旬報551号17頁 |
判決理由 | : | 〔退職-合意解約〕 以上認定事実を綜合して、合意解除前の申請人等の紛争の程度からして再雇用についてかなり強い要望があつたと考えられること、合意解除にのぞんでは文言のあいまいさは認めつつ、これを再雇用の約束と信じてもそれほど不当とはいいきれない裏付けが会社の方から出されていること、合意解除後も単なる口約束の不履行を責めるにしてはやや熱心すぎると思われる程交渉を行なつていることから申請人等は本件合意解除には企業再開を停止条件とする再雇用契約が附随していると思つていたものと認められ、前記各疏明資料から認定しうる事実、すなわち申請人等が各自予告手当を受領し、解雇承諾書を会社に差入れたことは申請人等の生活の窮状から察して、また合意解除の後(四月一日)組合に支払われた七〇万円が申請人等に分配されたことはその金員が紛争所要費用の填補という性質が強いものであることからみて、それぞれ右認定を妨げるものではなく、他に右認定を左右するに足る事実は疏明されない。 ではつぎに右再雇用契約の有無が合意解除の要素であるかを考えてみると、既にみてきたように申請人等は再雇用についてかなり強い要望をもつており、これがあるからこそ合意解除に応じたと認められ、且このこと自体は合意解除に対する関係では動機にすぎないけれども同一協定書中に独立の一項目を設けて表示せられており、一般取引の通念からみても雇用契約の解除に際して再雇用契約の存否はその解除の意思表示の重要な前提条件を成するものと解されるから、申請人等の合意解除の意思表示はその要素に錯誤があつたものというを妨げない。 |