ID番号 | : | 04618 |
事件名 | : | 給与支払請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福島県事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 過払い賃金が生じた場合の相殺を労基法二四条一項の全額払の原則の関係につき、当該過払の事実が生じた月に接着した期間にその返還請求または予告をなし、かつ労働者の生活の安定を阻害しない限度の金額であるときは、右原則に違反しないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条1項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整 |
裁判年月日 | : | 1963年3月25日 |
裁判所名 | : | 福島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (行) 7 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却 |
出典 | : | 行裁例集14巻3号673頁/教職員人事判例3号220頁 |
審級関係 | : | 上告審/00976/最高一小/昭44.12.18/昭和40年(行ツ)92号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い原則-過払賃金の調整〕 以上のような場合にその月分に生じた控除分はその翌月以降の賃金より差引く外ないのであつてかゝる場合使用者に翌月以降の賃金より一方的に過払金を差引くことを認めることが必要であり前記条項はかゝる使用者の権利行使(以下調整的相殺という)をも禁止する趣旨とは認められない。もつとも右調整的相殺は、過払金返還請求権を自働債権とし、その後の賃金を受働債権としてなす相殺であつて、その行使により月額給与を基準として諸般の生活設計をする月給労働者は平常月の生活設計の変更を余儀なくされる結果を招くおそれがあるので、その行使の方法および期間、ならびに控除しうべき金額等の諸点について特に厳格な制限の下にのみ、その行使が許容されるものと解するのが相当である。即ちこれが権利行使に当つては過払の事実が生じた月に接着した期間に返還の請求又はその予告をなした場合に限りかつ控除しうる金額は労働者の給料生活の安定を阻害しない限度の数額に止めらるべきであると解する。 |