ID番号 | : | 04625 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | ソニー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業規則における懲戒解雇理由である「会社の体面を汚したとき」とは、使用者の信用を毀損して企業の経営秩序を侵害した場合をいい、本件の職業安定所における組合役員の行為は右に該当しないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1963年5月10日 |
裁判所名 | : | 仙台地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ヨ) 250 |
裁判結果 | : | 一部認容・却下 |
出典 | : | 労働民例集14巻3号677頁 |
審級関係 | : | 控訴審/01730/仙台高/昭42. 7.19/昭和38年(ネ)182号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕 右規定に「会社の体面を汚した者」とは被申請人の信用を毀損して企業の経営秩序を侵害した者をいうものと解するを相当とする。従つてたとえ不当処分の撤回のための組合活動であつても第三者に虚構の事実を述べ、それが被申請人の信用を毀損するものである限り被申請人の体面を汚すものとして許されないものといわねばならない。しかし労働関係に関し使用者と労働組合との間に主張が対立している場合に、多少相手方の名誉、信用を毀損することのあるのは免れ難いところであり、従つて故意に虚構の事実をもつて相手方を批難し、自己の主張をする場合はともかく、自己の主張が正当であり、そのように信ずるについて相当である場合には、これによつて相手方の名誉、信用を著しく毀損しない限り、直ちにこれを不当と解することはできない。 申請人が事実に反することを述べたものであることは前記認定のとおりであるから、これによつて被申請人の信用がある程度毀損されたことは認めなければならない。しかし申請人は自己の主張が真実であると信じ、これについて相当の理由があつたと認められることは前記のとおりであつて、申請人の行為により被申請人の信用が著しく毀損されて経営秩序が侵害されたと認めるに足る疎明はない。したがつて申請人の行為が就業規則第五五条第一九号の懲戒事由に該当するとはいえない。 |