ID番号 | : | 04632 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 関西電力事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 六カ月の短期労働契約を更新してきた場合につき、期間満了前に会社から更新拒絶の意思表示がなされない限り、従前と同一の労働条件で更新される趣旨のものと解されたが、本件では更新拒絶の意思表示がなされており、不当労働行為にあたるとも認められないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法629条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1963年7月19日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (ヨ) 1230 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集14巻4号923頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 会社は常用夫を採用するに際し原則として六ケ月の雇傭期間を定めてこれを雇い、ただ業務処理方法の変更等による業務量の変動が特にない限り期間満了するも更に六ケ月の期間を定めて雇傭契約を更新する立前をとり、右更新に際しては其の都度、「職種、雇傭期間、労働条件」を明記した誓約書を提出させて引続き勤務させていたことは前に認定したところであり、前掲乙第二号証の一ないし五、証人A、B、C(第一回)の各証言及び申請人ら各本人訊問の結果によれば、申請人X1は昭和二七年に、申請人X2は昭和二九年に、申請人X3は昭和三二年に、それぞれ常用夫として雇傭されて以来六ケ月の雇傭期間の満了の都度それぞれ右期間の更新が繰返されて引続き勤務してきたもので期間満了の際にはその都度前記「誓約書」を提出していたものの、これも期間満了後引続き勤務して数日後に始めて会社からその提出を求められることが多く、したがつて申請人ら常用夫は期間満了前に会社から何等の通告のない以上、期間満了によつて雇傭関係が当然終了するものではなくて期間は更新されて引続き雇傭されるものとの認識を持つていたこと、会社としても前に見たように業務量の変動なき限り契約を更新する立前をとり其の場合に期間満了前には何等の意思表示もせず又常に期間満了と同時に誓約書を提出させるという厳格な手続はとらずに引続き勤務中の常用夫から数日後に誓約書を徴するという風に誓約書の提出を極く形式的なものとして処理していたし、一方期間満了によつて雇傭関係を終了させ契約を更新しない場合にも当然終了ということで何等の処置をとらないのではなくて予め退職願を提出させるという方法をとつていたこと、また常用夫は社員の補助的ないし附随的な作業をするものとは云へ、臨時人夫のように短期間の臨時的な仕事のために雇傭されたものではなく会社の業務処理方法に変更なき限りその仕事自体は会社にとつて恒常的なものであること、以上の各事実が疏明される。以上の各事実を彼此総合すると会社と申請人ら常用夫との雇傭契約は期間の定めのある契約ではあるが期間満了前に会社から更新拒絶の意思表示をしない限り当然に契約が従前と同一の労働条件(期間も前と同じ)で更新される趣旨の契約であつたものと解するのが相当である。 〔中略〕 会社は右請負化を実施するについては請負化対象業務に従事する常用夫に対しては一様に(申請人らに対しても)退職並びにD会社への就職を勧誘し申請人らを除く常用夫らは右勧誘に従い退職届を提出して会社のあつ旋によりD会社に就職したのに申請人ら三名だけは右勧誘を拒否し退職届を出さなかつたので会社は更新拒絶の意思表示をして雇傭関係を終了させたものであることは前に認定したとおりであるところ、申請人らの担当業務が請負化により会社の処理業務の範囲外となつた以上申請人らとの雇傭関係を終了させることは業務上理由があるものというべきであり、申請人らの組合活動ないし常用労組の存在と右更新拒絶の意思表示との間に因果関係があるものとは認めがたい。けだし、申請人らが他の常用夫らと同様に勧誘に応じて退職届を出したならば会社はD会社への就職をあつ旋したであろうし、逆に他の常用夫ら(常用労組の組合員たると否とを問わず)でも勧誘を拒否し退職届を出さなかつたら会社が更新拒絶の意思表示をしたであろうことは前記認定の経緯からこれを窺いうるからである。してみると、本件更新拒絶の意思表示を以て不当労働行為と断ずることは困難である。 |