ID番号 | : | 04633 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 大窪精機工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働者に製品の製作につき過失があったためつくり直しのための時間外労働を拒否して無断欠勤したことを理由とする解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法36条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 無届欠勤・長期欠勤・事情を明らかにしない欠勤 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反 |
裁判年月日 | : | 1963年8月13日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (ヨ) 656 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働民例集14巻4号1016頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 花見忠・ジュリスト339号129頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-無届欠勤〕 〔解雇-解雇事由-業務命令違反〕 次に、一般に企業においては、企業施設と労働力とが有機的に結合されていて、労働者は企業の効率的運営に寄与すべく労働者において労働力の提供に瑕疵があつて、使用者がその追完を求めたとき、労働者としては、その要求が違法又は社会通念上不当な範囲にわたらぬ限り、何らかの形でこれが追完の義務を負うのは信義則上当然のことといわなければならない。 そうすれば、前記(二)において認定したように、申請人に製品の製作につき過失があつたため、その製品全部が規格に合わなくなつたので(不良箇所を早期発見ができなかつたのは監督者にも過失があるというべきであるがこのことを以て申請人の過失が滅殺されるものではない)、その製品を納期に間に合わすよう作りなおすため、被申請人が申請人に対し毎日二時間程度の時間外勤務を求めたことは、前記認定のような当時の事情からすれば不当ということができないから、申請人としては、これに応じて協力すべきであるのに、時間外勤務の多くを拒否し、無届欠勤をしたことは、右信義則上の義務違反ありとせねばならず、(申請人が昭和三六年一二月八日有給休暇をとつたことについては、成立に争のない乙第四号証の三によれば、申請人の休暇願に対し会社がこれを許可したことが認められるから、この点について申請人に義務違反があつたとすることはできない。)右義務違反の程度は、被申請会社の企業の規模、申請人の失策の程度及びその影響、事後の勤務態度からみて、極めて大きいものというべきである。 |