ID番号 | : | 04637 |
事件名 | : | 仮差押異議申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 東急くろがね工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 更生手続開始後整理解雇された者に対する退職金につき、会社更生法第二〇八条二号の共益債権にあたるとされた事例。 |
参照法条 | : | 会社更生法208条2項 労働基準法89条1項3の2号 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 破産と退職金 |
裁判年月日 | : | 1963年9月14日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (モ) 1498 |
裁判結果 | : | 取消・却下 |
出典 | : | 下級民集14巻9号1802頁/労働民例集14巻5号1149頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-破産と退職金〕 本件のような会社の就業規則である退職手当支給規則に定めるところによつて従業員の権利となつている退職金は、賃金の後払たる性質をもつことを否定できないが、成立に争いがない甲第三号証によつて認められる右規則の内容を検討するに、この会社の退職金は懲戒解雇や勤続二年未満の者の自己の都合による退職のときには支給されないしその他の場合でも、退職が自己の都合によるものであるか否かなど事由のいかんによつて退職金の支給系数が、また勤続年数の多少によつて支給率が各異なり、また、特別手当として所定の事由による退職の場合一定率の加算があり、在籍期間中特別の功労者には組合と協議し退職金を増額することがある、とせられていて、個々の従業員にとつては、退職金の有無やその金額の多少は退職時にその事由が確定しなければ明白にならず、一般の賃金とは違つた恩恵的性質も多分に含まれていることがわかる。それゆえ、この退職金債権は退職前においてごく広い意味の条件付債権(または将来の請求権)といえないことはないにしても、将来条件が成就する際の権利内容にあまりにも浮動的要素が多い特種の権利であつて、その確定前に更生債権としての届出を必要とする具体性を備えているものとは認め難い。まして、本件係争の退職金は更生会社の管財人たる債務者らが、会社の事業経営のため必要と認めた人員整理による解雇を原因とするものであるから、その一体性をも加味し全額を会社更生法二〇八条二号所定の共益債権として取扱うのが相当である。 |