ID番号 | : | 04647 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 山陽新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社の方針を批判するビラの作成・配布は、就業規則上の会社の名誉信用を傷つけたときに該当するが、それに対する懲戒解雇は裁量権の範囲を超えており無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1963年12月10日 |
裁判所名 | : | 岡山地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ヨ) 262 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集14巻6号1466頁 |
審級関係 | : | 控訴審/01734/広島高岡山支/昭43. 5.31/昭和39年(ネ)10号 |
評釈論文 | : | 恒藤武二・季刊労働法53号98頁/籾井常喜・労働法学研究会報601号1頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕 以上を綜合するとき本件ビラの内容が全的に真実に合致し、正当なものであるとは認めがたいので、この文案を作成するに関与し或いはその配付に直接関与指導したと認められる(この点は証人A〔第一回〕の証言及び債権者X本人尋問の結果による。)債権者等の行為は就業規則の懲戒事由である会社の名誉信用を著しくおとし業務に著しい支障をきたした場合(疎乙六号証の一の第一〇〇条第五号及び第一八号)に一応該当するものといわねばならない。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の限界〕 しかし就業規則第九九条第一項には懲戒の方法として軽い説諭から重い懲戒解雇まで七種類があり前記行為についてはそのいずれで処置するかの定めがないのであるから会社にその裁量権があるとはいうもののその裁量には自ら限度があるものというべきでそれが著しく不当なときは許されないものと解する。 本件行為についてみるとき本件ビラはその根本において必ずしも虚偽或いは不当といえず、その付随的事項及び表現において問責される点があるにすぎぬこと、その内容に関連して会社側の行為についても批判を受くべき点があること等前記認定の諸般の事情を綜合するとき本件解雇は著しく裁量の範囲を越えたものといわなければならない。 |