ID番号 | : | 04649 |
事件名 | : | 雇用契約存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大和紡績事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 女子従業員の伯父であり、実質上の養父である者から、右従業員が共産党グループに所属しているので解雇して欲しいとの申出にもとづき解雇したことにつき、「会社の都合による解雇」として有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1963年12月25日 |
裁判所名 | : | 福井地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ワ) 109 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集14巻6号1510頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 瀬元美知男・ジュリスト364号116頁 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 被告会社福井工場における未成年女子従業員数は、全従業員の約八五パーセントにもおよび、その大部分の者が中学卒業後、始めて家郷を離れて生活する未婚女子であるところから、男女関係、思想関係が一番心配され、そのことの故に、被告会社は親もとから、男女関係、思想関係などを理由として、労務契約を解約するようにとの申し出を受けた場合には、会社の都合も言えず、出来る限りその趣旨にそつて善処しないと、万が一、本人に好ましからざる事態が発生しないとも言えず、そのような事が起つたとき、将来における中学卒業女子従業員の募集に支障をきたしかねないため、被告会社としては、全く企業維持の目的と、必要のために、女子従業員を解雇せざるをえないというやむを得ない事情を生ずることも、まま、あるということ。が、いずれも認められ、証人A、同Bの各証言および、原告本人尋問の結果(一部)中、右認定に反する部分は前掲各証拠および、弁論の全趣旨に照比してにわかに採用し難く、他に、右認定を左右するに足る証拠はない。 (もつとも、成立に争いのない甲第三号証によれば、昭和三六年一二月一九日原告が普通解雇になつた後の昭和三七年一月一八日から二月にかけ被告会社福井工場女子従業員二名-いずれも民主青年同盟会員-が会社の(、、、)就業規則に反する(、、、、、、、、)という理由で解雇せられたという事実が認められるけれども、右事実は前叙認定をなすについて、なんら妨げとなるものではない。) さすれば、右認定事実からすると、被告会社は、全く企業維持の目的と必要のため、やむなく、被告会社の就業規則第三五条第一項第七号にいう会社の都合による(、、、、、、、、)場合に該当するものと判断して原告を解雇するにいたつたものであり、また被告会社の右判断は、十分首肯しうるものといわねばならない。 原告は、本件解雇が、実質的には、疑いもなく、原告の抱懐する思想、信条を理由としてなされたものであつて、(労働基準法第三条に違反した)明らかに、無効な解雇である。と主張するが、本件解雇にいたる前叙認定の如き経緯に照らせば、被告会社が原告主張のような意図のもとに、原告を解雇したものであるとは、到底、考えることができないのである。 よつて、原告の請求は、いずれも、これを棄却することとし、訴訟費用につき民事訴訟法第八九条を適用のうえ、主文のとおり判決する。 (裁判官 後藤文雄 服部正明 重村和男) |