全 情 報

ID番号 04670
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 フインカム基地事件
争点
事案概要  米軍基地で自動車運転手として勤務していた者が保安上の理由で解雇されその効力を争った事例。
参照法条 労働組合法7条
日米安保条約3条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 船員の解雇
裁判年月日 1957年10月28日
裁判所名 東京地
裁判形式 決定
事件番号 昭和32年 (ヨ) 4006 
裁判結果 認容
出典 労働民例集8巻5号772頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-船員の解雇〕
 被申請人は、申請人が日米労務基本契約の附属協定第六九号第一条a項第三号(同項第一号記載の活動(作業妨害行為、諜報、軍機保護のための規則違反またはそのための企画若しくは準備をすること)に従事する者又は同項第二号記載の団体若しくは会(合衆国側の保安に直接的に有害であると認められる政策を継続的に、かつ、反覆的に採用し、若しくは支持する破壊的団体又は会)の構成員と合衆国側の保安上の利益に反して行動をなすとの結論を正当ならしめる程度まで常習的にあるいは密接に連けいすること)に該当するが故に解雇されたと主張するが、申請人が右第三号に該当する事実があると認めるに足りる疎明はない。
 なお、本件のような保安解雇については、現地部隊は所轄労務管理事務所長の意見を求めて上級部隊に解雇要求の申請をし、同部隊は調達庁長官の意見を求めて、右申請を、空軍関係であれば、極東米空軍司令官に提出し、同司令官は、その諮問機関である保安審査委員会(大佐、中佐級の軍人、軍属数人で構成されている。)の調査に基く意見と関係幕僚機関の意見を求めた上保安基準該当の有無を決定する手続になつていることが認められるが、かかる手続を経たという一事から、当然申請人に前記第三号の規定に該当する事実があると推認するのが相当であるとはいえないし、申請人が前記第三号の規定に該当する具体的事実を被申請人において主張、立証するところがない以上申請人に前記規定に該当する事実があつたものと認定することはできない。
 従つて、申請人には、前記解雇の理由となつたような事情はなかつたものという外はない。