全 情 報

ID番号 04681
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 極東陸軍兵器所事件
争点
事案概要  駐留軍労務者が保安上の理由で解雇されその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法20条
日米安保条約3条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 保安解雇
裁判年月日 1959年2月28日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和31年 (ヨ) 7250 
裁判結果 却下
出典 労働民例集10巻1号85頁/時報178号29頁/タイムズ88号111頁
審級関係
評釈論文 保原喜志夫・ジュリスト194号88頁
判決理由 〔解雇-解雇事由-保安解雇〕
 日米基本労務契約によれば、国の雇用する駐留軍労務者の人員整理の基準は、退職希望者が優先することは別として、原則として勤続年数の短い者から順に要求人員まで解雇する方式(いわゆる先任逆順、ただし勤続年数の同じ者は年少の者が解雇の対象となる)によることが定められ、申請人は右セクションに現に勤務するボイラーマンを右の順に列記した場合その最後(一番勤続年数の短い者)から計算して二三位と二四位との間に位することにより申請人が前記予備的解雇の対象とされたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる疎明はない。
 従つて右予備的解雇は、米軍施設の縮少に基く駐留軍労務者の整理のため行われたものと認むべきものであつて、申請人主張のような害意によつて行われたものとは認められない。
 〔中略〕
 本件予備的解雇の意思表示は、第一次解雇が無効であるとする申請人の主張どおりであると仮定し、その仮定の上に立つて昭和三三年三月一〇日をもつて雇用関係を終了させる趣旨であつて、第一次解雇が有効であればもとより右意思表示は無意味に帰し、これによつて申請人に不利益を来たすことはなく、第一次解雇が無効であればその効果を発生するが、その効果の発生は確定的で申請人に不利益を及す虞はないものというべきである。
 従つて本件予備的解雇は、将来の不確定な事実の発生にその効力の発生をかける条件つきのものではなく、また本件予備的解雇は第一次解雇の無効を前提としてはいるが、このことにより申請人に不利益を及す性質のものではないから、かかる前提の下になされたからといつて無効となる理由はない。