ID番号 | : | 04683 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 奈良観光バス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 時間外手当の支給要求のための一斉休暇が違法な争議行為ないし職場放棄であるとして懲戒解雇された従業員がその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働組合法8条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1959年3月26日 |
裁判所名 | : | 奈良地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ヨ) 110 |
裁判結果 | : | 一部認容・却下 |
出典 | : | 労働民例集10巻2号142頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 季刊労働法33号140頁/杉本昌純・ジュリスト182号64頁/労働判例百選〔ジュリスト252号の2〕114頁/労働法律旬報356号17頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕 懲戒解雇の効力の有無について考察すると、凡そ懲戒解雇の効力について争いある場合には、同解雇の有効なることを主張するものに於て懲戒解雇権の根拠、懲戒事由該当性をそれぞれ主張立証すべき責任ある。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 右申請人等の行動(一斉休暇)は労働条件改善というよりもむしろ労働条件維持のために労働者が結束して使用者に要求を提出し、交渉するための、又その末の組織的行動であつて休暇の名のもとになされたとは云え、実に争議行為そのものに外ならず之はまさしく憲法二十八条によつて権利として保障さるべきことが確認されている勤労者の団体行動そのものであるといわなければならない。 而して勤労者が権利として保障されている団体行動を執つた結果使用者に民事上の損害が発生したとしても、当該勤労者が使用者に対して何らその責を負う必要がない事は言うを俟たないところであつて右は労働組合法第八条の法意に照らして明らかである。 従つて被申請会社は前記申請人等の一斉休暇を目して、同会社就業規則第三十六条に所謂「その他会社に損害を与えた」ことになると主張するが、右就業規則の謂う従業員が会社に損害を与えたとは、会社が従業員に対し問責し得る場合のみを云うのであつて、従業員が免責される場合を含まないことは解釈上当然である。若しかかる場合をも包含すると強弁したところで、さような条項は団結権保障という公の秩序に反し、民法第九十条により無効となるにすぎない。 かくて申請人等が一斉休暇届を提出し昭和三十三年十月一日就労しなかつたことはそれ自体何ら懲戒解雇の事由たり得ない。 |