ID番号 | : | 04709 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 滋賀交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 職場外で飲酒をし逮捕されたバス運転手に対する通常解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業外非行 |
裁判年月日 | : | 1989年1月10日 |
裁判所名 | : | 大津地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ヨ) 125 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働判例550号130頁/労経速報1368号24頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-企業外非行〕 (1) 債務者が就業規則二〇条により普通解雇の解雇事由を制限していることは明らかであるが、同条九号には九号の要件が規定されているのであるから、「止むを得ない事由があったとき。」には債務者は債権者を普通解雇できるものと解するのが相当であるところ、債務者の営業内容が自動車による旅客運送事業等であること、その乗合バス運転手である債権者が再三にわたり職場外の飲酒運転を犯し、しかも警察からの身元照会などにより債権者が本件飲酒運転及び昭和五九年一月の飲酒運転を犯したことは初めて知ったことなどに照らせば、債務者の社会的評価が重大な悪影響を受け、あるいはその企業秩序が乱されたことは容易に推認でき、したがって債務者の存立ないし事業にとって不可欠なその社会的評価及び企業秩序を回復させる必要性があることも優に肯認できるところである。 (2) そうすると、債務者の解雇事由は九号の要件(「止むを得ない事由があったとき。」)に該当するものというべきであり、したがって、本件解雇は九号所定の解雇事由に基づいてなされた適法なものといわなければならない。 (二) 解雇権濫用の有無 双方にそれぞれ有利と思われる事情は前記認定のとおりであるところ、債権者の事情を十分考慮するとしても、なお債権者の情状は決して軽いものとはいえず、債務者の事情に照らせば本件解雇は解雇権の濫用に当たらず、したがって本件解雇は適法なものといわなければならない。 |