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ID番号 04710
事件名 懲戒処分取消請求上告事件
いわゆる事件名 北九州市清掃局事件
争点
事案概要  年末休日作業について労働時間、手当等についての交渉が妥結せず、市職労の指示に基づいて休日出勤をしなかったこと等を理由として懲戒処分を受けた者がその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法32条
労働基準法35条
地方公営企業労働関係法11条1項
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 公務
裁判年月日 1989年1月19日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (行ツ) 76 
裁判結果 上告棄却(確定)
出典 労働判例540号6頁/判例地方自治68号26頁
審級関係 控訴審/01236/福岡高/昭58. 3.16/昭和52年(行コ)23号
評釈論文 本島栄二・地方公務員月報315号38~49頁1989年10月
判決理由 〔労働時間-時間外・休日労働-公務〕
 1 上告人X1及び同X2を除く上告人らは、いずれも、北九州市清掃事業局の各清掃事務所又は清掃工場に勤務する、地方公務員法五七条所定の単純な労務に雇用される職員(以下「単純労務職員」という。)であって、自治労北九州市職員労働組合(以下「市職労」という。)、自治労北九州市現業評議会の組合員であった。
 2 北九州市は昭和三八年に旧五市の合併により設置されたが、合併前の旧五市における単純労務職員の年末年始の勤務については、それぞれの条例において「勤務を要しない日」あるいは「特別休暇」と定められていたなど、その取扱いに差異があった。北九州市は、合併後の単純労務職員の就業に関する事項について、市職労との折衝を重ねたうえ、昭和三九年五月二五日規則第九六号をもって北九州市労務職員就業規則(以下「本件規則」という。)を制定した。本件規則の一三条一項には、日曜日は勤務を要しない日とする旨が、その一四条一、二項には、単純労務職員の休日は、国民の祝日に関する法律に規定する日並びに一月二日、同月三日、一二月二九日、同月三〇日及び同月三一日とし、市長は、業務の都合により特に必要な場合は、単純労務職員に対し、休日に勤務することを命ずることができる旨が規定されている。
 3 北九州市においては、従来、年末に排出される多量のごみを処理するため、毎年、年末休日の勤務日数・時間数、休日勤務手当加算額等の労働条件について市当局と市職労とが団体交渉によって合意し、かつ各作業員の都合をきいたうえ勤務命令を発するという方法によって、円滑に年末清掃作業を実施してきた。ところが、昭和四四年の年末清掃作業に係る労働条件については、市当局と市職労とが団体交渉を続けてきたが、合意をみるに至らず、同年一二月一三日団体交渉はいったん打ち切られた。そこで、市職労は、同月一七日、傘下の清掃関係職員に対し同月二九日から同月三一日までの休日(以下「本件年末休日」という。)には出勤をしないよう闘争指令を発した。これに対し、被上告人は、右のような休日出勤拒否の事態となれば市民生活に多大の影響が及ぶものと予想して、同月二五日清掃関係職員各人に対し、本件年末休日につき勤務を命ずる勤務命令書を交付した。
 4 いったん打ち切られた市当局と市職労との団体交渉は、福岡県地方労働委員会の勧告により再開されたものの、結局、年末になっても両者の意見は一致せず、本件年末休日の間、各清掃事務所及び清掃工場の清掃関係職員約一四四五名のうちの七割強が、前記の本件年末休日勤務拒否指令に従って出勤しなかった。
 原審は、右事実関係のもとにおいて、(1) 本件規則は、北九州市の単純労務職員に対し効力を有する、(2) 本件規則一四条一項にいう「休日」につき、被上告人は、同条二項に基づき、単純労務職員に対し、その同意を得ることなく勤務を命ずることができる、(3)本件の年末清掃作業については、本件規則一四条二項に定める「業務の都合により特に必要な場合」に当たると認められる、(4) したがって、上告人X1及び同X2を除く上告人らは本件年末休日につき勤務義務を負っていた、と判断した。原審の右判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。