ID番号 | : | 04716 |
事件名 | : | 時間外賃金等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 京都福田事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 本社総務課主任が、右地位は労基法四一条二号にいう「管理監督者」ではないとして割増賃金の支払いを請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法41条2号 労働基準法37条 |
体系項目 | : | 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 管理監督者 賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務 |
裁判年月日 | : | 1989年2月21日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ネ) 1954 昭和62年 (ネ) 2129 |
裁判結果 | : | 一部変更棄却 |
出典 | : | 労働判例538号63頁/労経速報1365号3頁 |
審級関係 | : | 一審/03098/京都地/昭62.10. 1/昭和62年(ワ)121号 |
評釈論文 | : | 末啓一郎・経営法曹97号34~40頁1991年6月 |
判決理由 | : | 〔労働時間-労働時間・休憩・休日の適用除外-管理監督者〕 前掲証拠の他に(証拠略)及び原判決挙示の証拠によれば、第一審被告の就業規則は、労基法四一条二号に該当し同規則上労働時間等に関する規定を適用しないものとして部長、次長、工場長、課長を挙げているが、主任や工場課長は挙げていないこと、第一審被告の賃金規定上、第一審原告X1及び同X2が第一審被告から支給されていた役職手当は時間外勤務手当の算定の基礎の一つとされており、右役職手当が時間外勤務手当をも含んでいるものではないこと、両名の出社・退社の勤務時間等は、一般従業員と比較してこれよりも厳格な制限を受けていなかったとはいえず一般従業員と全く変わらなかったこと、両名が第一審被告の経営者と一体的立場にあったとはいえないこと、第一審被告は、本件訴訟が当審に係属するまでは両名が管理職であるとの指摘は全くしていなかったことが認められ、この認定に反する(証拠略)(第一審被告の「職制規程」。この規定の中には主任を管理職ないし准管理職とする旨の定めがあるが、前記就業規則の規定と噛み合わないところがあるのみでなく、この職制規程が当時から存在していたのか、本件紛争後に定められたものであるかが明らかでない。仮に当時から存在していたとしても、右の定めだけでもって、「主任」が第一審被告において監督・管理の地位にある者であると即断することはできず、後記の認定判断を覆すものではない。)は、(証拠略)に照らして採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 前記の各点及び本件証拠上認められる原判決認定の事実関係によれば、前記の地位にあった両名が当時第一審被告において労基法四一条二号にいう「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」にあったとは到底認められず、両名がいわゆる管理職の地位にあったとはいえないから、第一審被告の当審における主張一は失当である。 〔賃金-割増賃金-支払い義務〕 営業課課員のうち内勤者以外の者は第一審被告から一万円の営業活動手当を支給されていたことが認められるが、この営業活動手当が時間外労働に対する対価であるとのことを認めさせる証拠はなく、この手当の支給をもって時間外労働に対する賃金の支払を免れることはできない 〔中略〕 第一審被告が就業規則を改正して「従業員を、所定時間外に就業させる場合には、所属上長が指示をなし、従業員は所定の用紙にて手続を行い、所属上長の承認を得なければならない。」との規定を設け、かつ残業に関する明確な届書を備え付けたのは、本件訴訟が提起された昭和六〇年一月頃になってからであって、それまでは第一審被告は、日給月給者を除く従業員の残業等の労働時間についてタイムカード以外による管理は十分にしておらず、むしろ第一審原告らが主張するとおり、従前は原則としてタイムカードによって従業員の労働時間を管理していたものと認められる。 |