ID番号 | : | 04728 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 清風会光ケ丘病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務態度につき戒告処分を受けているにもかかわらず反省の色がなく、婦長に対し反抗的態度をとる等勤務態度が不良であるとして看護婦が懲戒解雇された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の根拠 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1989年3月23日 |
裁判所名 | : | 山形地酒田支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ヨ) 20 |
裁判結果 | : | 一部認容却下 |
出典 | : | 労働判例541号77頁/労経速報1367号13頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の根拠〕 ところで、被申請人の就業規則第五六条には、従業員について同条所定の行為があったときには懲戒処分に処すると定めているだけであるので、この就業規則のもとにおいては懲戒権者がどの処分を選択するかはその裁量に任せられているものと解されるけれども、その裁量権の行使が社会通念に照らして合理性を欠き、いたずらに酷にわたるようなことがあってはならないと解すべきところ、右の各懲戒処分の中でも解雇は、停職以下の処分とは異なり、当該従業員を職場から排除し、その者に対し決定的な経済的不利益を与える最も重い処分であるから、その選択については特に慎重にあるべきであって、情状を十分斟酌して、停職以下の処分では足らず、該従業員を職場から排除しなければ職場の秩序を維持し得ないほどにその非違行為の違法性が顕著であることを要するものというべきである。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 前判示の諸点に徴すると、確かに、申請人は、種々の問題行動、特に、上司に対する反抗的態度及び患者に対する不適切な対応があって、懲戒処分の一つである戒告に処せられ、その後においても、いささか反省の念に欠けているのではないかと窺われないわけではなく、反抗的態度ないし嫌がらせの行動等をとっていたものであるが、そこには前判示のような事情も存するのであって、前判示の戒告の懲戒処分を受けたのに同種の行為を再び行ったという点を情状として考慮してもなお一概に申請人のみを重く非難するのは妥当ではないのであり、結局このような事情のもとにおいては懲戒解雇に相当するほど重大な非違行為をなしたとまで評価するのは申請人にとって酷に過ぎるものというべきである。 そうすると、本件懲戒解雇は、被申請人の就業規則の懲戒処分の条項の解釈適用を誤ったものというべきであり、無効と解すべきである。 |