全 情 報

ID番号 04762
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 ヒノヤタクシー事件
争点
事案概要  タクシー運転手が約四年三カ月の間に四回にわたって物損事故を起こし、運転技能が著しく劣るとして解雇されその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
裁判年月日 1989年5月29日
裁判所名 盛岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 371 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例544号63頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-職務能力・技量〕
 原告は、約四年三か月にわたる被告における稼働中に右の四回の事故を起こしたものであるところ、最初の事故(前記1の(一)の(1)の(ア)の事故)と第二の事故(前記1の(一)の(1)の(イ)の事故)との間隔は約六カ月であるが、第三の事故(前記1の(一)の(1)の(ウ)の事故)は第二事故の約一年後に、第四の事故(前記1の(二)の(1)の事故)は第三の事故の約一年一〇か月後に起こされたものであり、原告が短い期間に事故を頻発させたということはできない。
 (ウ) 以上述べたところを総合すると、たしかに右の各事故を起こしたことは好ましいことではないが、そのことを理由に、原告の「技能が著しく劣り上達の見込なく又は勤務成績が著しく悪く従業員として不適当」であるとまでいうことはできず、原告が就業規則二八条四号に該当するということはできないというべきである(なお、右就業規則二八条の文言は、「従業員として不適当と認めたとき」となっているが、右規定の目的、性格等からすると、使用者が主観的に不適当と認めただけでは足りず、客観的に不適当と認められることが必要であるというべきである。)。