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ID番号 04773
事件名 懲戒処分取消請求上告事件
いわゆる事件名 北九州市職員労組事件
争点
事案概要  財政悪化を理由とする病院、水道事業等の再建計画に基づく人員削減計画等に反対する争議行為を企画、実施したとして懲戒処分を受けた市職員等がその効力を争った事例。
参照法条 地方公務員法37条1項
地方公務員法29条1項
地方公営企業労働関係法11条1項
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1989年6月20日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (行ツ) 168 
裁判結果 棄却
出典 労働判例552号19頁
審級関係 控訴審/福岡高/昭60. 6.27/昭和57年(行コ)31号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 地方公務員法三七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和四四年(あ)第一二七五号同五一年五月二一日判決・刑集三〇巻五号一一七八頁)の判示するところであり、また、地方公営企業に勤務する一般職の地方公務員の争議行為等を禁止する地方公営企業労働関係法一一条一項の規定が、同法附則四項の規定により右地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される場合を含めて、憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日判決・刑集三一巻三号一八二頁)の趣旨に徴して明らかである
 〔中略〕
 地方公務員に懲戒事由がある場合において懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したものと認められる場合でないかぎり違法とならないと解するのが相当である。本件において、所論の点に関する原審の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実及び原審の確定したその余の事実関係のもとにおいて、上告人らに対する本件各懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいえず、懲戒権者に任された裁量権の範囲を超え、これを濫用したものとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。