全 情 報

ID番号 04777
事件名 日雇港湾労働者登録取消処分取消請求事件
いわゆる事件名 神戸港労働職業安定所事件
争点
事案概要  職安所長がなした日雇港湾労働者の登録取消処分の効力が争われた事例。
参照法条 港湾労働法(旧)10条1項
港湾労働法(旧)8条1項
港湾労働法(旧)20条1項
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 供給労働者
裁判年月日 1989年6月22日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (行ウ) 24 
裁判結果 棄却
出典 労働判例544号53頁
審級関係 控訴審/大阪高/平 2. 9.27/平成1年(行コ)29号
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-労働者-供給労働者〕
 (1) 当安定所は、公傷及び私病者の長期不出頭者についてリストを作成し、定期的な呼出しを行なっているが、同六一年九月一一日ころこのリストにあげられた者につき脱漏がないか組合支部の記録と照合したところ、原告は既に同年五月三一日で公傷期間が終了していて、同年六月一日からは無届不出頭となっていることが判明した。
 (2) そこで被告は、同年九月三〇日に当安定所に出頭してきた原告から事情聴取をし、同年一〇月一日には不出頭理由につき原告に書面を提出させ、さらに同月三日と一四日にも重ねて事情聴取を行なう一方、原告を治療した医師、事業所の担当者、神戸東労働基準監督署等からも事情を聴き、原告の無届不出頭及び各傷害について調査を行なった結果、被告は原告が運用基準1(4)所定の常習的公傷者であり、前記不出頭についても正当な理由がないものと判断した。
 (3) そして、この間の同年一〇月八日、神戸港湾荷役協会会長から、被告あてに、原告について公傷が多発し、その都度トラブルが発生して事務処理に困難を来たしているので、確固たる処置を求める旨の申入れ(通報)があった。
 (4) そこで被告は原告に対し本件処分を行なった。
 三 以上の事実関係に基づき、被告の本件処分が違法か否かを判断する。
 (一) 前記認定事実に照らせば、原告は第一ないし第三傷害を理由に昭和五七年一〇月四日から同六一年五月三一日までの約三年半の間に約一八か月休業して、この間労災保険法に基づく休業補償給付を受給したうえ、第一傷害及び第三傷害に関して、医学的裏付けのない痛みを理由に公傷期間の意図的な引延ばしを行なったものと認めるのが相当である。
 また、原告は昭和六一年六月一日から九月二九日までの間の当安定所に出頭すべき日に出頭せず、その届出もしなかったのであるが、この点に関して原告が主張するところはいずれも正当な不出頭理由とは認められない。
 (二) 右の前段事実は法一〇条一項一号、八条一項三号、運用基準1(4)に該当し、後段の事実は法二〇条一項本文、一〇条一項五号にそれぞれ該当する。