ID番号 | : | 04782 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪フィルハーモーニー交響楽団事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 交響楽団のコントラバス奏者が兼職禁止規定に違反する行為があったとして解雇され、右解の効力を解雇協議条項に違反する等として争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 労働組合法16条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項 |
裁判年月日 | : | 1989年6月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 4694 |
裁判結果 | : | 一部認容(控訴) |
出典 | : | 労働民例集40巻2・3号422頁/タイムズ713号151頁/労働判例544号44頁/労経速報1367号27頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕 協定第5項にいう「協議」とは、前記同条項の目的に照らし、特段の事情がない限り解雇の意思表示の事前になされることが必要であり、しかも、単に労使が当該解雇につき話合いの場を持っただけでは足りず、解雇の是非当否について双方がそれぞれの立場から、議論を尽くすことをいうものと解され、同条項にいう「協議が整った」とは、労使が右議論を尽くしたうえで双方が解雇相当との結論に到達した場合をいうと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、前記認定事実を総合すれば、被告と組合の本件解雇についての協議は、第一解雇後初めてなされ、しかも右協議は六回を数えたものの、被告は終始一貫して原告の解雇に固執し、組合の行う原告の復職要求に対し一顧だに与えなかったため、組合は右要求の実現が不可能であることを知り、ついに被告との交渉を断念し、これを終息したのであるから、右協議が同条項にいう協議に該当すると認めることは困難であり、また、組合が右経緯で被告との交渉を終息したことをもって、組合が本件解雇に同意したものと解する余地があるとしても、右同意が同条項の「協議が整った」場合に該当しないこともいうまでもない。したがって、本件解雇手続は同条項に違背するものといわねばならない。 3 本件解雇は、協定第5項に規定する組合との協議が整わずなされたものであるが、本件解雇事由が解雇に相当する強度の背信性をもち、かつ、協議が整わなかったことにつき専ら組合に非がある等の特段の事情が認められるときは、なお本件解雇は有効であると解するのが相当である。 〔中略〕 以上の認定説示を総合すれば、原告に本件解雇を相当とする重大な背信行為があったと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。 4 右認定説示によれば、本件解雇は、その手続において協定第5項に違背してなされた違法なものであり、しかも、前記特段の事情も認められないから、無効であるといわねばならない。 |