全 情 報

ID番号 04814
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 国産自動車交通事件
争点
事案概要  「A会」なる従業員会の副会長が、会長の臨時大会中止の決断にもかかわらず会社の許可を受けることなく仲間に働きかけて右臨時大会の開催を主導したことにより会社に多大な損害を与えたとして懲戒解雇された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
裁判年月日 1989年12月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 11312 
裁判結果 棄却
出典 時報1356号148頁/労働判例554号21頁/労経速報1382号12頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務妨害〕
 本件臨時大会当日の会員の出番予定者は七二名であり、前もって有給休暇の届出のあった者三名、欠勤届のあった者三名の計六名を除く六六名が臨時大会に参加したが、そのうち大会終了後就労した者は四四名、大会開催中及び終了後に有給休暇の届出をして就労しなかった者は三名、大会終了後も就労せず欠勤した者は一九名であったこと、そして、当日通常に営業を行った者一八名の総営業収入は金七六万二六五〇円で一名当たりの営業収入は金四万二三六九円となるところ、大会参加者四四名の総営業収入は金一一四万四八五〇円で、一名当たり金二万六〇一九円にしかならず、これを基準にした当日の営業収入の損害は、右四四名の減収分及び二二名の休車分を合計すると一六〇数万円にもなること、また、月一回乗務員の教育等を目的として開かれる会社主催の明番講習会は、タクシー営業が認可事業であるところから、会社にその実施が義務づけられ、出席人員、実施日は勿論のこと、その講習内容まで記録することが義務づけられ、その違反については監督官庁の監査時に重大指摘事項とされ、車両使用停止等の行政処分対象の一つとなっていたが、原告らはこれらを知悉しながら本件臨時大会の開催に踏み切り、右明番講習会の開催を不可能としたこと、以上の事実が認められ、(証拠略)のうち右認定に反する各部分並びに(人証略)、原告本人尋問の結果中右認定に反する部分はいずれも措信しない。
 以上認定の各事実によれば、原告は、Bが臨時大会開催の中止を決断したことを知るや、被告の許可を得ないまま右大会を開催せしめようと企て、原告を支援するグループに大会開催に向けて強く働きかけ、会社構内に集まっていた会員らに臨時大会を成功させるべく煽動し、Bが集まった会員に対し、一旦臨時大会を中止する旨伝えたにもかかわらず、臨時大会を開催させ、指導したものであり、本件臨時大会は、主として原告の意図とその指導により開催され、挙行されたことが明らかであって、本件臨時大会及び同大会開催に至る原告の行動ないし役割は、就業規則一四条及び誓約事項に違反し、同規則五三条一号、二号、四号及び一二号の懲戒事由に該当するものということができる。