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ID番号 04825
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 板付空軍基地事件
争点
事案概要  駐留軍における将校クラブ、または下士官、兵員食堂に勤務する直用労務者の雇用主は、右将校クラブ、下士官・兵員であり、被告とされている労務連絡士官ではないとして、解雇無効確認訴訟が棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 労働契約(民事) / 成立
裁判年月日 1961年3月3日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和32年 (ワ) 255 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集12巻2号123頁
審級関係
評釈論文 萩沢清彦・ジュリスト268号96頁
判決理由 〔労働契約-成立〕
 (一) 原告X1は板付米空軍基地A将校クラブに、原告X2、同X3は右基地第B員食堂に、原告X4は同基地A下士官食堂に直傭日本人労務者(日米労務基本契約に基ずく調達庁による間接雇傭労務者に対していう)としてそれぞれ勤務していたところ、いずれも昭和三十一年一月二十日附で保安上危険であるとの理由をもつて解雇されたことは当事者間に争いがない。
 (二) 成立に争いのない甲第一ないし第三号証、同上甲第八号証の一(証人Cの調書)、同上乙第一ないし第三号証、証人Dの証言を綜合すると、原告等の雇傭主は、原告等がそれぞれ勤務していたところの前記将校クラブにおいては同クラブ自体であり、又下士官、兵員各食堂においてはその利用者である個々の下士官、兵であること、原告等の本件解雇は、板付基地司令官の指令によつてなされたものであること、しかして被告Yは、本件当時労務連絡士官としての職責上、原告等直傭日本人労務者の採用ないしは解雇その他の人事に関し、将校クラブ等の現場責任将校から提出された要求書に基ずき、日本政府職業安定所に労務者の斡旋方を依頼し、あるいは解雇手続事務を行う等の職務を担当していたが、同人は千九百五十七年四月右地位を退き、合衆国本国に帰国したことがそれぞれ認められる。
 右認定に反する甲第八号証の一(証人Dの調書)は措信し難く、他に前認定を覆すに足る証拠はない。
 (三) 原告等は当裁判所の再度の釈明に対し、終始、本訴はY個人を被告として提訴したものであると主張する。
 しかしながら、Y個人は原告等の雇傭主ではなく、従つて、原告等を解雇したものでないこと前記認定のとおりであるから、被告Yに対する原告等の本訴請求は理由がないこと明らかである。
 よつて、原告等の本訴請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。