ID番号 | : | 04830 |
事件名 | : | 雇用賃金支払請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 駐留軍事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 駐留軍労務者が特殊作業手当を支給すべき危険作業に従事しているか否かの認定権は労働契約により使用者に委ねられており、労基法二条、一五条に違反しないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2条 労働基準法15条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働条件明示 |
裁判年月日 | : | 1961年4月25日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ネ) 2688 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部棄却 |
出典 | : | 労働民例集12巻4号545頁/訟務月報7巻5号1040頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働条件明示〕 控訴人は、何が特殊作業手当を支給すべき危険作業にあたるかを調達庁長官又はその委任を受けた労管所長において一方的、恣意的に決め得るとすることは、労働基準法第二条第一五条及び調達庁長官と全駐労との間の労働協約に違背するとも主張する。しかし、特殊作業手当支給の基準については前示支給標準表但書をも含め調達庁と全駐労の間の労働協約に則り、労働協議会で協議決定されたもので、労働契約の内容をなすものとして、当事者双方ともこれに拘束されるものとみるべきこと既に述べたとおりであり、また危険性の認定が使用者側に委ねられているのもさきに(五)において述べた事情によるもので、合理的な理由が存するのであり決して特殊作業手当を支払うかどうかを使用者側において恣意的に決定し得るものでもないのであるから、控訴人主張のように労働基準法第二条の労使対等の原則に反するものとはいえず、また控訴人主張の労働協約の条項に違反するとも考えられない。 またすでに述べたように特殊作業手当支給の基準は労働協約に基き労働協議会で協議決定されて、協約の内容とされており、その支給標準表によれば作業に危険性がないとの認定があつた場合には特殊作業手当が支給されないこと及びその危険性の認定権は使用者側にあることが示されているのであるから、これらは一般的に明示されているものと解して妨げなく、また右認定権が使用者側に与えられているのは合理的な理由に基くものであつて認定権に藉口して労働条件明示の趣旨を没却せしめんとするものでもないから、労働条件明示の原則に違背するとの控訴人の非難もまたあたらないものと考えられる。 |