ID番号 | : | 04832 |
事件名 | : | 解雇無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 浅田化学工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | マッカーサー書簡にもとづく解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 日本国憲法14条 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1961年5月2日 |
裁判所名 | : | 神戸地姫路支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和32年 (ワ) 159 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集12巻3号263頁 |
審級関係 | : | 控訴審/00035/大阪高/昭39. 6.30/昭和36年(ネ)759号 |
評釈論文 | : | 小西国友・ジュリスト270号80頁 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 次に原告は本件解雇は共産党員ないしその支持者を企業より排除することを目的としてなされた所謂「レッド・パージ」であるから、憲法第一四条第一項、第一九条、第二一条第一項及び労働基準法第三条に違反し、無効であると主張し、被告はこれを争うにつき考察する。成立につきいづれも争いのない乙第八号証、第一二号証の二、第一五号証の一ないし七、第一六号証の各記載に証人Aの証言(一、二回共)を綜合すれば、本件解雇も所謂レッド・パージと認めるのが相当である。而して昭和二五年五月頃から同年一一月頃に亘り我が国において公共的報道機関を始め逐次各種重要産業において共産主義者及びその支持者が所謂レッド・パージとしてその職場から多量に追放されたことは当裁判所に顕著な事実であり、右は結局連合国最高司令官の昭和二五年五月三日附声明、内閣総理大臣に対する昭和二五年六月六日附、同年六月七日附、同年六月二六日附、同年七月一八日附各書簡(乙第一五号証の二ないし七)の精神と意図に基く連合国最高司令官の指示に基いてなされたものであることが認められ、右指示は日本国憲法及び一切の国内法に優先する効力を有したのであるから、右指示の趣旨に従つてなされた解雇は有効と解すべきところ(昭和二七年四月二日、同三五年四月一八日各最高裁判所大法廷決定参照)、原告等が当時共産党員であつたことは前示乙第一二号証の二によつてこれを認めることができ且つ成立につき争のない乙第一七号証の一、二証人B、同A(一、二回共)の各証言を綜合すれば、被告会社は硫酸礬土、加里明礬、アルミナホワイト、加里肥料その他化学製品の製造販売業を営みその業界における比重も相当なものであることが認められるので、尚重要産業の一角を担当しているものということができる。従つて本件解雇はその他の争点につき判断するまでもなく有効であるから、本訴請求は失当であり、これを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九三条第一項を適用して主文のとおり判決する。 |