全 情 報

ID番号 04838
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 富士タクシー事件
争点
事案概要  ユニオン・ショップ協定にもとづく解雇につき、組合の分裂により他の組合に属している者については、右協定の効力は及ばず解雇が無効とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働組合法16条
体系項目 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
裁判年月日 1961年7月10日
裁判所名 金沢地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (ヨ) 86 
裁判結果 認容
出典 労働民例集12巻4号564頁
審級関係
評釈論文 中島正・労働経済旬報503号27頁
判決理由 〔解雇-ユニオンショップ協定と解雇〕
 被申請人は、本件解雇事由の第二点として、A労組が昭和三六年四月二六日申請人等を除名したので、同労組との間で締結した暫定労働協約第四条に基き申請人等を解雇したと主張する。これに対し、申請人等は、除名のなされた昭和三六年四月二六日当時には既にA労組の組合員ではなかつたと争うのでこの点につき判断するに、前記(一)認定の事実によれば、昭和三六年四月二五日B町で行なわれた組合大会で、「C出て行け」との叫び声のうちに申請人等が会場から退場した時、従前のB労組はA労組とC労組とに分裂したものと認めるのを相当とする。
 そうだとすれば、組合の分裂後、一方の組合であるA労組と被申請会社との間で締結されたユニオン・シヨップ協定の効力は、協定組合の組合員外の組織労働者たる申請人等に対しては及ばないものと解すべきである。けだし、申請人等においてすでにその団結権を行使して組合を結成している以上、その既得権は尊重さるべきものだからである。
 してみると、被申請人の申請人等に対するユニオン・シヨップ協定に基ずく本件解雇もまた結局その解雇事由がないことに帰するから無効である。