ID番号 | : | 04850 |
事件名 | : | 行政処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 伝習館事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 学校教育法五一条、二一条所定の教科書使用義務に違反する授業をしたこと、高等学校学習指導要領から逸脱する授業および考査の出題をしたこと等を理由とする高等学校教諭に対する懲戒免職処分は裁量権の範囲を逸脱していないとして、原審の判断が覆された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 学校教育法51条 学校教育法21条 地方公務員法29条 地方公務員法32条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1990年1月18日 |
裁判所名 | : | 最高一小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (行ツ) 46 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 民集44巻1号1頁/時報1337号7頁/タイムズ719号78頁/労働民例金融商事841号34頁/裁判所時報1019号1頁/労働判例555号9頁/判例地方自治65号22頁/法律新聞954号6頁 |
審級関係 | : | 控訴審/福岡高/昭58.12.24/昭和53年(行コ)27号 |
評釈論文 | : | 岩渕正紀・ジュリスト954号97頁1990年4月15日/岩渕正紀・法曹時報42巻6号210~216頁1990年6月/佐藤司・判例評論380〔判例時報1355〕173~177頁1990年10月1日/山下淳・平成2年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊980〕38~40頁1991年6月/市川須美子・月刊法学教室134号13~14頁1991年11月/市川須美子・行政判例百選〔1〕<第3版>〔別冊ジュリスト122〕106~107頁1993年4月/市川須美子・行政判例百選〔1〕<第4版>〔別冊ジュリスト150〕118 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 以上によれば、上告人が、所管に属する福岡県下の県立高等学校等の教諭等職員の任免その他の人事に関する事務を管理執行する立場において、懲戒事由に該当する被上告人らの前記各行為の性質、態様、結果、影響等のほか、右各行為の前後における被上告人らの態度、懲戒処分歴等の諸事情を考慮のうえ決定した本件各懲戒免職処分を、社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいい難く、その裁量権の範囲を逸脱したものと判断することはできない。これと異なる原審の判断は、ひっきょう、懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤ったものといわざるをえず、右の違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は、その余の論旨について判断するまでもなく破棄を免れない。そこで、被上告人らの本訴請求について判断するに、被上告人らの右各行為は、地公法二九条一項一、二号の懲戒事由に該当するところ、原審の適法に確定した事実関係の下において、本件各懲戒免職処分に被上告人ら主張の手続的違法は認められず、また、それが懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものということができないことは右に述べたとおりであるから、その取消しを求める被上告人らの本訴請求は理由がない。したがって、これと判断を異にする第一審判決を取り消し、被上告人らの請求をいずれも棄却することとする。 |