ID番号 | : | 04854 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | トップ工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 生産部門の縮小を理由とする整理解雇につき、今直ちに整理解雇をすることが企業の合理的運営上已むを得ないという事情も認められず、組合と協議もしておらず、解雇権濫用にあたり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の必要性 解雇(民事) / 整理解雇 / 協議説得義務 |
裁判年月日 | : | 1990年1月23日 |
裁判所名 | : | 新潟地三条支 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成1年 (ヨ) 29 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例560号63頁/労経速報1399号14頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-整理解雇-整理解雇の必要性〕 〔解雇-整理解雇-協議説得義務〕 債務者の一七〇名体制であれば安定経営を望めるが、現状のままでは経営が成立たないという点については、必ずしもこれを肯認するに足りる資料はないのみならず、前記18の疎明事実のとおり、債務者主張の人員算定の方法には合理性を認めることはできないし、しかも他方では平成二年春には新規の採用を予定するなどしていたものである。そして一七〇名体制であれば安定経営を望めるという重要な根拠となる非付加価値率の減少について、組合からその説明を求められても、前記疎明のとおり、合理的な説明をなし得ない状況にあり、しかも、債務者の経営状態は、売上の横這い状況にもかかわらず、毎期利益を計上して自己資本も着実に増加していて、健全な状況にあるというものである。 しかして、これら諸点からすると、債務者について、今直ちに整理解雇をすることが企業の合理的運営上已むを得ないというような事情も格別認められないし、延いては、組合に対してこの点に関する協議を尽くし得なかったといわざるを得ないところである。 そうすると、本件整理解雇は、その余の点について判断するまでもなく、債務者の就業規則五二条三号の「事業の経営上已むを得ないとき」との解雇規定に該当する事由がないにもかかわらずなされたもので、解雇権の濫用として無効というほかない。 |