ID番号 | : | 04856 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 三和興業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 職場放棄を理由とする会社による懲戒解雇の主張に対し、退職の意思表示が有効に成立しているとして退職金請求が認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法627条 |
体系項目 | : | 退職 / 任意退職 |
裁判年月日 | : | 1990年1月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 7365 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例556号37頁/労経速報1388号20頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-任意退職〕 以上認定したところによれば、原告は被告側の慰留を固辞し続け、かつ、転職先も決っており、更に、退職予定日の一、二日前になっての機構改革が原告が退職を思い止まる理由になったものとは認められないのであるから、これらに照らすと、原告が前記のような退職と相反するかのような言動をとったことをもって退職の意思表示を撤回したものと推認することはできない。なお、被告は、原告が業務の引継ぎや顧客への退職の挨拶をしていないと主張するが、証人Aの証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、被告は後任者を決めるなどして原告に業務の引継ぎに関する指示をしなかったことが認められ、右事実に照らし、仮に原告が業務の引継ぎ等をしなかったとしても、これをもって退職の意思表示を撤回したものと認めることはできない。他に退職の意思表示を撤回したことを認めるに足りる証拠はない。 3 したがって、原告が退職の意思表示を撤回したことを認めることができないから、これを前提として原告が突然かつ一方的に職場を放棄したことが懲戒解雇事由に該当するとの被告の抗弁2(懲戒解雇)はその余の点について判断するまでもなく理由がなく、結局抗弁は失当といわざるを得ない。 |