ID番号 | : | 04859 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国鉄旭川駅事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 上司に対する暴力行為等を理由とする懲戒免職処分につき、懲戒権の濫用にあたるとして無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 |
裁判年月日 | : | 1990年1月30日 |
裁判所名 | : | 旭川地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ワ) 20 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例556号20頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 右のとおり、原告は、本件集会当日、A所長がその許可のない者の車両センター構内への立入り及び同構内での集会を禁止し、その正門前にロープを張り、立入禁止の札も掲示するなどしていたにもかかわらず、同日午前一〇時過ぎころ、許可のない者は構内に入れない旨の注意をしたB助役の胸を右肩で押して通用門から同センター構内に立入り、C助役から数回にわたって構外へ退去するよう通告されたにもかかわらず、これに従わないで本件集会後まで構内にとどまり、また、午後零時一五分過ぎころ正門前において、D副委員長に加担し、管理者らに警備上の指示を与えていたE科長を正門の門柱に押し付けるなどしてその職務を妨げたものであって、原告の右行為は、被告の就業規則一〇一条一六号の「職員としての品位を傷つけ、又は信用を失うべき非行のあった場合」又は少なくとも同条一七号の「その他著しく不都合な行為のあった場合」に該当するといわざるを得ないが、被告が主張しているF助役に対する暴行及びG助役に対する暴行(傷害)等の点については、前叙のとおりこれがあったと認めるに足りる証拠はない。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 前記認定事実によれば、原告は被告の就業規則一〇一条一六号、又は少なくとも一七号に該当する行為を行ったと認められるが、その行為自体の他、その行為に至るまでの経緯、原因、動機、状況、結果等前記認定の諸事情に照らすと、本件免職処分は、右行為との対比において甚だしく均衡を失し、苛酷に過ぎるものであって、社会通念上合理性を欠くものといわざるを得ない。したがって、本件免職処分は、懲戒権の裁量の範囲を超え、その濫用にわたるものであって、無効というべきである。 |