全 情 報

ID番号 04860
事件名 超過勤務手当等請求事件
いわゆる事件名 品川区学校警備事件
争点
事案概要  公立学校警備員に対し年末年始の休日勤務を廃止し、勤務の必要がない旨の学校長の指示にもかかわらず、警備員らが強行就労し、それに対する賃金を請求したことにつき、右就労は業務命令にもとづくものではないとして請求が棄却され、また右廃止が不法行為を成立せしめるものでもないとされた事例。
参照法条 労働基準法24条
民法624条
民法709条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 仕事の不賦与と賃金
賃金(民事) / 賃金・退職年金と争訟
裁判年月日 1990年1月30日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 19598 
裁判結果 棄却
出典 労働判例556号7頁/労経速報1387号6頁/判例地方自治71号55頁
審級関係
評釈論文 小俣勝治・季刊労働法156号140~141頁1990年8月
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-仕事の不賦与と賃金〕
 (証拠略)及び証人Aの証言並びに原告X1、同X2各本人尋問の結果によれば、被告は、機械警備の導入という事情の変更を踏まえて、昭和六〇年一二月一三日、機械警備校の校長に対し、同年一二月二九日から昭和六一年一月三日の警備を全て機械警備によって行い、警備職員に対しては休日勤務命令及び超過勤務命令を発しないとの意思を明らかにすると共に、昭和六〇年一二月二三、四日ころ、原告ら各自に対しても、各学校長を通して、年末年始には勤務を要しない旨を通告したことが認められるから、原告ら主張の慣行が命令権者の勤務命令に代わって原告らの勤務を正当化する余地はない。
〔賃金-賃金・退職年金と争訟〕
 進んで不法行為の主張について見るに、原告らが主張する各手当ての請求権が、命令権者から勤務することを命ぜられて勤務したことを要件とするもので、勤務命令の有無によって変動する性質のものであることは、前記のとおりである。したがって、原告らにこれらの手当ての支払いに対する期待が生じているとしても、もともと、右のような変動を覚悟しなければならないものである上、原告らがその前提とする慣行も、被告においてこれと異なる意思を表明することを禁ずるものでないことは前記のとおりであるから、右期待が被告の意思に拘らず保護されなければならない法的利益に当たるとはいえない。