全 情 報

ID番号 04905
事件名 行政処分無効確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 建設省中国地方建設局事件
争点
事案概要  中国地建の職員であり全建労の組合員であった者が刑事訴追を受け、国公法に基づき休職処分等を受けたのにつき、任命権者に対し処分無効確認の訴えを提起した事例。
参照法条 国家公務員法79条2号
体系項目 休職 / 起訴休職 / 休職制度の合理性
休職 / 起訴休職 / 休職制度の効力
裁判年月日 1990年5月23日
裁判所名 広島高
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (行コ) 2 
裁判結果 棄却(確定)
出典 行裁例集41巻5号927頁/労働判例564号73頁
審級関係 一審/広島地/昭58. 1.18/昭和44年(行ウ)2号
評釈論文
判決理由 〔休職-起訴休職-休職制度の効力〕
 一般に、行政処分が当然無効であるというためには、その処分に重大かつ明白な瑕疵のあることが必要であり、このことは、起訴休職処分に不当労働行為該当の瑕疵がある場合においても同様であって、その瑕疵が重大かつ明白なものであるときに限り、その起訴休職処分が当然無効になるものと解するのが相当である〔休職-起訴休職-休職制度の合理性〕
 国家公務員法七九条二号に規定するいわゆる起訴休職制度は、公務員が刑事事件に関して起訴された場合、その公務員を引き続き職務に従事させると、職場秩序の維持に悪影響を及ぼし、官職に対する国民の信用を損ない、また、公務の正常な運営に支障を来すおそれがあるところから、その公務員を、身分を保有したまま一時的に職務から離脱させることによって、右弊害の発生を防止することを意図するものと解される。
 そして、本件のように、公務員が団体交渉の過程で発生した行為について起訴された場合においても、その公務員を引き続き職務に従事させるときは、前同様の弊害の発生するおそれがあることには、何ら変わりがないというべきであるから、右の場合を特に区別して取り扱うべき合理的理由はないし、また、右の場合に起訴休職処分を行うことが労使対等の原則や憲法二八条の精神に反するものとは到底考えられない。